「私にどんな得がありますか?」という態度

2022/06/20

数年前の話になりますが、私が書いた協業と協働についての記事を読んだ人から次のようなEメールをもらいました。「あなたのおっしゃっているネットワーキングのやり方において、こうすればうまくいくはずという説明をされていますが、現実の世界では、多くの人が『私にどんな得があるの?』という考えを持っているように思います」。そして、こんな質問が書かれていました。「どうすれば、自分の利益だけを考える人に無駄な時間や労力を使わずに済みますか?」と。
素晴らしい質問だと思った私は、端的にこう返信しました。

― そうした信用のおけない人たちとは付き合うのを止め、仕事を一緒にするにふさわしい人を積極的に探しましょう。大丈夫です、私もそんな人たちに関わってしまったことがありますからと。

そんな時間や労力を無駄にした経験を経て、あなたの役に立ちたいと思ってくれるネットワークを築くことは(そしてあなたも彼らの役に立ちたいと思うような)、それ自体が目的地ではなく旅であることを認識する必要があります。ビジネスの成功のために強固なネットワークを築くことは、短距離走ではなくマラソンのようなもの。あなたが、長期的にリファーラルを交わし合えるギバーズゲインの精神を持ったプロフェッショナルと出会い、お互いのことを理解し合うまでには時間を投資する必要があります。

ネットワーキングパートナーを見つける方法

まず、相手に与えることができる人を探すところから始めます。良いネットワーキングパートナーの特徴は次の通りです。

  • 相手から何かを求める前に、どのようにあなたの役に立てるか、何かできることはないか真摯な気持ちで尋ねることができる。
  • 仕事を依頼したり、リファーラルを求める前に、あなたとの間に信頼関係を築く必要があることを理解しており、長期にわたってプロフェッショナルな関係を構築しようとする意志を示している。
  • 将来的にサポートをお願いできると思う人に対しては、ビジネスでのやり取り以外にも時間を作る。
  • ネットワーキングは狩猟型ではなく農耕型であることを理解し、行動で示すプロフェッショナルであること。あなたとの人間関係が深まるほど、お互いの人脈作りに大きな期待が持てることをわかっており、時間の許す限り仕事以外でもあなたのことを知ろうとする努力を惜しまない。
  • あなたや他のネットワーキングパートナーに、ビジネスや人脈をもたらすためにできる限りのことをする。あなたに関連のある有益な情報を共有し、あなたが会いたい人たちと好ましい関係になれるミーティングに招待する。
  • 自分の時間や知識を与えることで、リファーラル提供者の成功を手助けする人。ネットワーキングパートナーの成功を喜び、そのことをみんなに伝えてくれる。

ビジネスを得るためには、時間がかかるということを理解し、他人にすすんでビジネスを与えようとする人を見つけたいものですね。

人間関係を構築する

ビジネスネットワーキングの核心は、時間をかけて本物の信頼関係を築くことです。単に人と会ったり、存在を認識されているだけでは不十分。信頼関係を築くことなく知名度を上げても、長い目で見れば大きく成功することはないでしょう。

広くてもつながりの浅いネットワークは、強固なネットワークではないということを思い出してください。作りたいのは、広がりがあり、深みのある個人ネットワークです。それを実現するためには、有意義な人間関係の構築が鍵になります。定期的に人と会い、同じクオリティのプロフェッショナルたちが集まるネットワーキンググループに継続的に参加しましょう。そこでは、仲間とお互いに有益な関係を築きつつ、「私にどんな得があるの?」というような人たちをふるいにかけることができるのです。

ビジネスネットワーキングやリファーラルマーケティングにおいては、「アバンダンス・マインドセット(豊かさにフォーカスする心の態度)」も大事だと思います。世の中には十分過ぎるほどのビジネスがあり、みんなに行き渡るのだと意識しようとするとこのような心持ちになれます。何がなんでもリファーラルが欲しいというような必死さは、相手に伝わってしまい、リファーラルには決してつながりません。成功するネットワーカーは、足りないことばかりを気にする「スケアシティ・メンタリティ」を捨て、豊富にあるという心持ち、「アバンダンス・マインドセット」を意識するようにしています。

あなたが、これらの助言に耳を傾け良いネットワーキングパートナーを探したいのであれば、まず自分自身をかえりみてください。ここに挙げた特徴は、「あなた」に当てはまりますか?「あなた」は、あなた自身のビジネスを求める前に、進んで人のビジネスの手助けをしていますか?

「私にどんな得があるの?」ではなく、何か仲間の役に立てることがないかを尋ねてみてください。

 

訳=川崎あゆみ