リファーラルは、偶然に生まれる?

2022/11/21

ビジネスにおける人脈作りにおいて、「ラッキー」とは、粘り強く続けてきたことがチャンスに結び付くことをいいます。偶然に生まれるリファーラルなんてありません。紹介が生まれるのは、成功しているネットワーカーが、お互いに見込み客を紹介し合う強い関係を築くために常に活動しているからにほかなりません。電話営業で成功する確率のように簡単には測定できませんが、その成果は劇的であり、偶然の一致では決してありません。

リファーラルを生み出すにいたった仲間との関係ではなく、リファーラルを受け取ったことのみに焦点を当てると思い違いが生じます。リファーラルは、偶然生まれた結果だという間違った結論に至ることになります。人脈作りは、運がいいか、どうかではなく、リファーラルが生まれる関係を築いているかどうかが鍵になります。

企業においては、たった1人の人物が会社の業績を回復させたり、会社の成功に劇的な影響を与えたりすることは考えにくいことです。でも、BNIのようなさまざまなプロフェッショナルが集まるグループでは、メンバーどうしの関係を構築することで、徐々にその関係が一体となり、ビジネスの成功に大きな変化を作りだすことが可能になります。

この動画では、クリスという元BNIメンバーについてお話をしましょう。彼は、リファーラルは、チャプター内で仲間との関係を築いた結果、生まれたものだということを理解できておらず、仲間から受け取るリファーラルは、偶然の産物だと思っていたというのです。

関係に焦点を当てる

動画の中でもお話したように、クリスの課題は、「再現可能性」と「その理解」です。彼が一生懸命やっていたことは、年齢や所得、地域別にリスト化したものをもとに電話をかけ、特定の顧客にターゲットを絞って、より多くのビジネスにつなげるというものでした。獲得したビジネスが足りなければ、電話営業を増やす。彼が成約につなげた件数は、電話をかけた人数と比例していたので、目標を達成するには、あと何本の電話をかける必要があるのか、彼はわかっていました。彼が十分に理解していたのは、再現可能性の高い仕事のやり方でした。

一方、彼がリファーラルとして顧客を得るまでには、そのリファーラルが生み出されるに至る筋書きがあったのですが、リファーラルは、繰り返し生まれるということを、彼は理解していなかったのでしょう。サリーは以前からの知人であったジムのチャプターメンバーであったスーとたまたま出会い、サリーは、その彼女を同じチャプターで活動するクリスにスーを紹介しました。でもクリスは、このリファーラルは、偶然生まれたものであり、おそらく再び同じリファーラルが出されることはないだろうと結論付けました。

彼が、紹介が生まれる関係ではなくリファーラルだけに注意を向けたのは、彼が効果的に利益を生む関係を築くためのプロセスを理解していなかったからです。彼が所属するチャプターから得る全てのリファーラル、そしてその後、新しい顧客をメンバーから紹介してもらったことも、単に偶然だと結論づけたのです。

彼がそのように思ったこともこれに限っては、完全に的外れだったというわけではありません。もし、あなたがリファーラルを提供してくれた人のことを大切にし、ビジネスにつながることになったプロセスと人間関係に目が向いていなければ、結果として、その人脈からは継続的にさらなるビジネスを得ることはなかったでしょう。

別の見方をしてみましょう。サリーは、ジムのことを前から知っていて、スーと出会い、最終的に彼女をクリスに紹介したことが全く同じように再び起こることはおそらくないでしょう。でも、一歩引いて、「どなたか私のサービスを求めている方がいらしたら、私にその方を紹介していただける可能性はありますか?」と尋ねてみるとしたら話は変わってきます。特に、自分の人脈の中に、常にあなたのこと、そしてあなたがどのようなビジネスをしているのかを理解している「誰か」がいるような関係の構築が重要と考えた場合は、なおさらです。

ネットを使った人脈作り

リファーラルネットワーキングは、魚を捕まえるときの投網に非常によく似ています。全ての魚がさまざまな方向からやってきて網にかかるわけですが、捕まった魚には、それぞれにまた繰り返されることのない筋書きがあります。あなたは、特定の魚を狙って、網をしかけるわけではありません。むしろあなたは、網をどのように仕掛けるかということに集中します。魚がどこからやってくるのかなんて考えることもなく、継続的に網を仕掛けていれば魚を捕まえることができることは、おわかりですよね

リファーラルを得ることも同じです。人と会い、連絡を取り合い、仲間のビジネスのために何ができるのか尋ねることは、何度でもできることです。あなたは、網を仕掛けるときのプロセスは理解しているわけですから、特定のリファーラルがどのようにして自分にもたらされたのかについては心配する必要はありません。

ここが大切なところです。釣りと同じように、あなたの網、つまりネットワークも常にあなたのために機能します。あなたの知人があなたの商品を利用する可能性のある人に出会うところに、あなた自身が常にいる必要はありません。つまり、それが同時にいくつもの異なる池に網を仕掛ける「釣り」であり、継続的に新しいビジネスの紹介を受け取るという報酬を得ることなのです。

漁師のみなさんは、それぞれの魚がどのようにして網までやってきたのかということではなく、投網をすることに意識を集中させます。なんでもいいので一匹の魚が獲れたことを成功とするならば、それは偶然として結論づけて良いでしょう。

成功を収めているビジネスの人脈から得られるリファーラルは、偶然から生まれるのではありません。あなたの人脈作りを行ってきた成果が出ているとしたら、それは関係構築のために日々重ねてきた蓄積の結果であり、そのシステムが機能していることを示しています。お互いに有益で、プロフェッショナルな関係を通して、築かれた基礎があるからこそ、質、頻度ともに一定のリファーラルが生まれるのです。

訳=川崎あゆみ