優れたネットワーキンググループの強みの1つは、メンバーの多くが友だちになるということです。そして皮肉なことに、ネットワーキンググループの弱みの1つも、メンバーのほとんどが友だちになるということです。これは、強みでもあり弱みでもあることです。私たちは、たとえ親しい間柄でも友人の責任を負うようなことはしたくありません。ですから、ネットワークを円滑に運営する上で、個人それぞれが責任ある行動を取ることは非常に重要なことです。ビジネスネットワーキングを正しく理解している人であれば、望む結果を出すためには、その組織に仕組みと体系が必要であることを認識しています。
定期的にミーティングを開くネットワーキンググループが、コーヒー片手におしゃべりする会になってしまい、ネットワーキングがほとんど、いえ、もしかしたら全く行われない会になってしまうのは、怖いほど簡単なことです。これは、グループがその目的や注力する点、仕組みや体系を見失ったときに起きる事態ですが、そもそも最初からがない場合は、当然そうなります。
時に独自のアジェンダを作り始めるグループがありますが、それによってネットワーキングの焦点がぶれ始めます。焦点がぶれると、そのミーティングは単なる社交の場となってしまいます。ネットワーキングはビジネスを目的に行われるべきです。もちろん、社交的な側面もありますがビジネスやコミットメント、アカウンタビリティが中心となるものです。
リーダーシップと教育
人の行動は水のようなもの。抵抗が少ない道を歩もうとします。しっかりとした運営上の枠組みがなければ、アジェンダは毎日のニュースといった日常の話題や、グループ運営者の個人的な視点による好き勝手なミーティングに終わるかもしれません。一貫性を保つことができなければ、時間が経つにつれて、グループにとっての問題になっていきます。
たとえグループに優れたリーダーがいたとしても、その人の人生に変化が起きたり、あるいは熱意を失ってしまうこともあります。リーダーの他にメンバーに教える人がいなくなったら、その途端に、問題が起き始めます。教えるということは水漏れするバケツに例えられます。バケツ満杯の情報があるとしましょう。その情報が別の誰かに伝えられる時、バケツから多少の情報が流れ出し、その話を聞いた人は全ての情報を受け取ることができません。そして、その話を聞いた人がまた別の誰かに話を伝えた場合、人によって異なる解釈がなされたり、表現力の差によって、その情報の内容が継続的に薄くなっていくのです。
あなたが、その情報を3、4周目に聞く頃には、その内容はバケツの半分ほどしか残っていません。バケツ内の情報量が少なくなると、人は勝手に情報を付け加え始めます。問題は、それが正しい内容ではないかもしれないことです。こうしたことが起きるのを私は、これまでに何度となく目にしています。ただし、穴あきバケツが人から人へと渡るにつれて、情報の内容に磨きがかかっていくということも、非常に稀ではありますが、起こります。
私は、全てを文書化して、「トレーナー向けの教育」資料を作成することが最善の解決策であることに早い時期に気づきました。それによって、仕組みやトレーニング方法の統一化が図れるというわけです。リーダーシップトレーニングを再現性のある仕組みの一部に組み込むことが、情報伝達の漏れをなくすうえに、組織にとって優れたリーダーを育てる最良の方法なのです。
私は、ネットワーキンググループの人たちが親しい友人どうしになることは素晴らしいと思っています。大切なことは、ネットワーキングやリファーラルを通じて、お互いのビジネスを拡大するというグループの目標を見失わないことです。
全てのネットワーキンググループが、強固な枠組みを築き、強い目的意識を持って、メンバー各々がすでに運用されている体系的な仕組みを確実に実行していくことが重要です。これによって、メンバーがネットワーキングにおける友人たちのビジネスに対して責任を持つことに同意するようになるでしょう。
あなたが所属するネットワーキンググループは、体系的なネットワーキングを行うにあたり、どのように意識を集中させ、責任をもって関わり続けていますか?
訳=川崎あゆみ