ビジネスネットワーキングを行うにあたっては、他人があなたのビジネスのことを全て知っていると思い込むのは、大きな代償を払うほどの間違いになりかねません。ある花屋を営む人が同じネットワーキンググループのメンバー全員が自分の仕事内容について、よく知っているに違いないと思い込み、この間違いを犯してしまったことがあります。彼は、グループ内のメンバーに「他に何を話したらいいのかわかりません。だって花屋の仕事なんて、みんなご存じでしょう?」と話しているのを聞いたことがあります。いやいや!彼の思い込みは全くもって間違っているだけでなく、見込み客やリファーラルパートナーたちに自分が提供するサービス全般について理解してもらう貴重な機会を逸してしまったのです。
ミーティングの後、私は、彼にFTD(Florists’ Transworld Delivery:世界最大の生花店組織)の加盟店かどうかを確認した上で、次のことを訊きました。
・ホリデーシーズンのための季節限定商品はありますか?
・もしあれば、どんな内容ですか?
・急ぎの注文でも対応できますか?
・結婚式の装花もお願いできますか?
・請求書を発行してもらうことは可能ですか?
・オンラインで注文できますか?
・バラの花の色には、意味がありますか?
・切り花を長持ちさせるコツを教えていただけますか?
私は、彼のビジネスについて知らないことが山ほどあるということを伝えました。そして他の人たちも絶対に同じ様に思っているはずだということも付け加えました。彼がどのような商品を提供しているのか、どのようなお客様を対象としているのか、どんな風にビジネスをしているのか、他の花屋さんと比べてあなたのお店が選ばれるべき理由など知ってもらう必要がありますよと。
この花屋さんのケースは、全ての起業家に言えることです。人があなたのビジネスの全てについて知っているなんて絶対に思いこんではいけません。専門家たちが毎週定期的に集まり、情報交換をするネットワーキングサークルのメンバーであっても、あなたのサービスや商品、提供できるソリューションについて理解してもらう必要があるのです。
理解してもらうことが力になる
所属するネットワーキンググループとの関わりを効果的にするため、またリファーラルを交わす機会をより有益に活用するために次のステップについて検討してみてください。
質問リストを準備する
潜在顧客があなたのビジネスについて抱きそうな質問リストを作ることから始めましょう。提供しているサービス、価格・料金についての詳細な説明、特別なプロモーション、カスタマー・ポリシー、業界関連情報などについて網羅したものを作成します。
一回のミーティングで一つの質問について回答する
ネットワーキングイベントに参加したら、仲間に対して作った質問リストの中から毎回一つの質問に絞って伝えます。あなたのビジネスの奥深さ、幅の広さを伝えられるよう、簡潔かつ有益な話をしましょう。これによって、あなたが提供している商品・サービスについて相手を教育できるだけではなく、相手の興味を引き、記憶に残すことができます。
あなたの専門性を示す
ネットワーキングに参加している人たちは、潜在的なビジネスパートナーとして、専門性を持ち、なおかつ信用できる人を探しています。あなたのビジネスについて時間をかけて教育することによって、あなたは、自身の専門分野において高い専門性を持った人であるという立場を確立することができますし、信用を得ることによって、リファーラルを得たり、顧客をひきつける可能性が高まります。
USPを伝える
あなたのビジネスについて人を教育することで、あなたのUSP( Unique Selling Proposition:独自の強み)を際立たせることができます。ネットワーキングを活用して、競合他社との差別化を図り、潜在的な顧客は、なぜあなたの商品やサービスを選ぶべきなのかを伝えましょう。
顧客が得られるベネフィットを強調する
あなたがリストアップした質問に答える際は、あなたと協業することによって顧客が得られるベネフィットを際立たせましょう。あなたがもたらす価値、そしてあなたのターゲットとする市場の固有のニーズにどのように対応しているかを印象付けましょう。
自ら進んで学ぶ
ネットワーキングは、双方向なものです。あなたのビジネスについて他人に教育をするのであれば、あなたも相手のビジネスについて積極的に学びましょう。相手が求めていることや興味を持っていることへの理解を深めることで、あなたはそのニーズに合わせた対応が可能になる上、コラボレーションの可能性にもつながります。
興味がある人をフォローアップする
ネットワーキングで知り合った後は、あなたのサービスに興味を示した人に加え、紹介を受けた場合は、そのリファーラルについても可能な限り24時間以内にフォローアップします。相手からの質問に答えたり、タイミングを見ながら個別にコミュニケーションを取り、あなたのビジネスについて教育することを続けましょう。
ボーナスヒント
最初にリストアップした10個の質問を元に、毎週行うプレゼンテーションを作成し、今後参加するネットワーキングのミーティングで何度も使うようにしましょう。メンバーは、あなたについての情報を何度も聞く必要がありますし、会場には、あなたが何をしている人なのか全く知らない人も参加していますから。
人を教育する
ネットワーキングは、あなたが自分のビジネスについて他人に教育する機会を提供するものであり、それによって潜在的な顧客はあなたが提供する商品やサービスについて総合的に理解できるようになります。相手が自分のビジネスについて知っているに違いないという思い込みを避けて、積極的に価値のある情報を伝えましょう。そうすることで、信用できる専門家としてのポジショニングができる上に、市場における競争力を高めることができます。教育する機会、つながる機会、そしてビジネスで成功するために必要な永続的なビジネスの関係構築の機会として、ネットワーキングを活用しましょう。
最初に登場した花屋さんのことを覚えていますか?彼は自分のビジネスのことを知っていたし、他の人も同じ様に知ってくれていると思いこんでいました。あなたが所属するネットワーキンググループでは、彼と同じ様な思い込みはしないようにしましょう。それぞれが提供すべき商品やサービスについて人に教育できることがあるはずです。思いこみを避けて、あなたのビジネスを人に教えるチャンスを逃さないようにしましょう!
訳=川崎あゆみ