戦略的アライアンスの構築

2024/05/13

戦略的アライアンスは、二つの企業あるいは組織間で双方に有益な特定のプロジェクトを推進するためのリソース共有を取り決める仕組みのことです。実効性のある戦略的アライアンスでは、それぞれのメンバーがプロジェクトの成功に貢献します。誰かひとりの人が、劇的な影響力を持って事業を回復させるようなことはありません。しかし、ある一定の期間にわたって変化を起こすことは可能です。小さくても一貫性のある行動を通じ、大きな成果を収めるに至るまで徐々に関係性を拡大していくことは可能です。

重要なのは、前向きな姿勢を維持することです。すぐに成果が見えないようでも諦めないでください。鍵は連絡を取り合うことです。最良の戦略的アライアンスは、年間を通じて、可能であれば対面でのミーティングも含め繋がりを保つことです。会話をする中で、お互いに助け合うことができるちょっとした方法を見つけ出し、話し合うことができますし、それによって徐々に関係性が強化されていきます。

強固な戦略的アライアンスを構築し成功を手にした多くの人は、ネットワーキングにおいても、そのプロセスについて、様々な多くの人と共に小さな行動を重ねることであると捉えています。それは手っ取り早くお金を稼ぐような方法ではありません。彼らは、人がすぐにビジネスに価値をもたらさないからといって、その人が役に立たないとは考えません。

あなたが何かのビジネスネットワーキンググループに属しているなら、そのグループのメンバーをリファーラルの可能性、そして戦略的アライアンスのパートナーという観点で捉えてみてください。誰もがあなたの成功に貢献してくれる可能性があり、あなたが築いてきた成功の上に少しずつ成功をさらに重ねていってくれます。

戦略的アライアンスを組むための正しい方法

これからお伝えするのは、BNI®での出来事です。ある時、二つの組織がBNIと戦略的アライアンスを結ぼうとしたのですが、それぞれ全く異なった結果となりました。

一社目の企業は、ちょっと話をしましょうと私に連絡してきました。それは、「お会いできて嬉しいです。では、結婚しましょう!」という感じでした。彼らはビジネスにおいて成功しており、これまで彼らのビジネスの日陰にいた私にとって素晴らしい機会となるであろうという考えのもと、私が保有しているデータベース全てを彼らと共有できる特権与えてもいいと考えているのだということを、私は感じ取りました。(あなたは、「一体、どういうことだ?」と思うかもしれませんね)

私が、業務提携を深めパートナーの企業との関係を築くには、「結婚しましょう」という段階に至るまでに時間と努力が必要であるという、私たちの企業理念と私自身の信念を説明すると、彼らは突然電話を切ってしまいました。

それとは対象的に、ここでは二社目がどのように接触してきたかをお話ししましょう。世間でも名の知れた同社社長が個人的に電話を掛けてきて、私の会社の目標が何かを尋ねることから会話が始まりました。私が我々の目標を彼に伝えたところ、彼の次の言葉は、「その目標達成のためのお手伝いをさせていただきたい!」でした。

そこから、「お会いできて嬉しいです」から「もっとお互いのことを知り合いましょう!」に進んだのです。彼はわが社の目標達成に役立ち、そして同時にメンバーのビジネスをより向上させることができそうなアイデアを話してくれました。私が、ネットワーキング組織としての我々の理念は「協力」であり、お互いにとって本当に価値あるものは時間がかかるという信念であることを説明したところ、彼は全面的に理解し、尊重し、支持してくれたのです!

私たちの関係は長い時間をかけ有機的に発展し、両社にとって互いに有益となる戦略的アライアンスを組むことになりました。(その後、1社目についてはほとんど何も聞くことはありませんでした……)

グローバル組織を築き上げてきたこの数十年を振り返ってみても、一人の人あるいは一つの企業が私たちを次のレベルへ後押しする何かをもたらすことはなかったとはっきりと認識しています。次のレベルに押し上げたのは、むしろ多くの人々や数々の戦略的アライアンス、そして私たちのことを進んで理解しようとし、時間をかけて協力しながら互いのビジネスを築いてきた会社とのしっかりと育まれた関係など、多くの要素を積み重ねてきた結果です。お互いに連絡を取ったり、交流をはかろうとする機会など、双方に有益となる活動の一つ一つが、私たちが成功に向かって転がりながら進んでいく中で、車輪の一本のスポークとしての役割を果たしました。

もし、あなたが他社と戦略的アライアンスの関係を結びたいと思うのであれば、必ずあなたの企業文化を尊重し、その文化の中で協業しようとする組織と一緒に事業をすることを強くお勧めします。また、その相手企業は、そのプロセスには時間を要することを明確に理解している必要もあります。両社がこのレベルの理解に達した時に、戦略的アライアンスを通じ、成功に向かって順調に進んでいくことになるでしょう。

訳=川崎あゆみ