数年前、私は、友人で『ソリューション・フォーカス』の共著者であるマーク・マッカーゴー博士から学んだあるテクニックを自分のビジネスに使い始めました。それは、企業が問題の解決を試みているときに、生まれがちな否定的な考え方に対処する上で画期的なものでした。
人間は、解決策ではなく、ついつい問題の方に意識を集中させてしまうものです。実際、人は、何度も何度も繰り返し問題に固執してしまうようで、おしまいには集中しすぎて「その問題のプロ」になってしまうほどです。組織の中にいるこうした人々が、問題ではなく解決策に目を向けるようにするためには、「考え方を変える」ように促すことが非常に大切だということに気づきました。
例えば、フランチャイズ加盟店や従業員、私が設立した組織であるBNI®のメンバーと話をする際、特定の事柄について抱えている不安に対して、一連の質問を投げかけるようになりました。例を挙げると、あるグループに対して「あなたにとって問題になっていることは何ですか?」と尋ねることがあります。それに対して、「リファーラルです。質のよいリファーラルを得られていません」という答えが返ってくるかもしれません。このように問題が何かがわかれば、博士から学んだ手法を使うことができます。
問題の大きさを知る
まず私は、「その問題に対する解決策を持っているので、お役に立てると思います」と伝えることから始めます。問題があるとした人にこう聞いてみます。「点数が1点から10点まであるとします。1点は質のよいリファーラルを全く得られていない、10点はあなたの想像以上のリファーラルを得ているとしたら、あなたの問題には、何点をつけますか?」
皮肉なことに、この種の質問をした人たちは、いつも4に近い点数を挙げます。今回の場合も、4点だと答えました。その答えに対する私の返答は、いつもこうです。「なぜそんなに高い点数なのですか?」。私がそう聞くと、いつも困惑した表情で、「いえ、あの、4点ですよ。低いですよね?」と。私は、「わかります。10点満点中4点ですよね。でも、私の質問は、どうして、2点、3点ではないのですか?ということです。4点とした理由を1つ教えてください」。すると、4点をつけたことに対して肯定的な理由を1つ挙げます。
うまくいっていることを明確にする
さて、ここが重要なのですが、私は誰か他の人に質問します(ネガティブな話に終始させたくありませんから)。部屋にいる他の人たちに、「誰か、この問題でうまくいっている要因を1つ私に教えてください」と言います。必然的に誰かが答えてくれます。そして、さっきと同じ「点数の」質問を答える人が変わっても何度も何度も繰り返していきます。そしてその度にみんなの答えを書き留めます(全員がコメントを見ることができるフリップボードに書くといいですね)。皮肉なことに、毎回こんな風に言う人がいるのです。「実際は、4点ではなくて、もっと高いと思います。7点か8点にします」と。ここでも私は、「素晴らしい、でも、どうしてそんなに高い点数なのですか?」と聞き、答えた人にフリップボードにその理由を書き足していってもらうのです。
解決策を見直す
ある程度のアイデア(8~12個くらい)が集まったら、特に効果的だと思う内容を取り上げ、なぜこれらのトピックが重要なのかを説明しながら、全員で時間をかけてリスト全体を見直していきます。このタイミングで、私は全員ほとんどを驚かせるようなことを言います。「実は、みなさんには私の助けは必要ないと思っています。みなさんは、すでに何が問題を解決するか、その答えを持っています。このリストによって課題を克服し、成功するために、必要なことのほとんどについて説明するという素晴らしい作業をしましたね。リストに挙げたことのほとんどを実践したら、あなたが所属する組織の中で最も成功するグループを作ることになるでしょう」と。そしてミーティング後、リーダーシップチームと会い、グループにとって重要性の高いものから優先順位をつけるトリアージを行う手助けをすることを約束します。
問題に直面したときに、多くの場合、ネガティブな面に意識を向けがちです。うまく行っていることではなく、うまく行っていないことに注意を向け続けます。もし問題に焦点を当ててしまうと、さらに多くの問題を見つけてしまいます。でも、解決策に目を向けたら、解決策が見つかるのです。解決策こそ世界が必要としていることです。さらに問題を増やす必要なありませんよね。
訳=川崎あゆみ