売り込みを急がない

2023/10/23

あなたは、過去に面識のない人からリファーラルや取引を求められたことがありますか?ビジネス上の関係がまだ築かれていない段階でリファーラルを求めるのは、急ぎすぎです。

数年前、私はアメリカのBNIのメンバーがこのことを「時期尚早な売り込み」と呼んでいるのを聞き、全くその通りだと思いました。リファーラルを提供するということは、自分自身も少し評価されることになりますが、見知らぬ人のために、自分の評判を危険にさらしたくはありませんよね。

私も「時期尚早な売り込み」の被害者になったことがあります。ある時、私はビジネスネットワーキングイベントでスピーチをしたのですが、プレゼンテーションの前に誰かが私のところに来て、まさにこう言ったのです。「こんにちは、あなたにお会いできて本当に嬉しいです。リチャード・ブランソンさんとお知り合いなんですよね。私は専門的なマーケティングサービスを提供しており、私の提供するサービスはきっとヴァージン・エンタープライズに貢献できるものだと思っています。彼にそのサービスがいかに彼の会社に役立つか説明したいので、私をブランソンさんに紹介していただけませんか?」

この時、私はこう考えました。

この人は正気なのか? 面識もなければ、何の関係もないあなたを、私ですら数回しか会ったことのないリチャード卿に紹介して、私がどのようなものか知りもしなければ、使ったこともない製品やサービスを彼に売り込むというのか? いやいや、そんなことは絶対にありえない!

でも、安心してください。私は我慢しました。私はそのちょっとした独白を自分の頭の中に留めて、その代わりにもっと絶妙な返事を選ぶことができたのです。

それは、このような返答でした。「こんにちは、私はアイヴァンです。失礼ですが、これまでお会いしたことはないですよね。お名前は何でしたっけ?」。 その男性は私の返事に驚いて、自分の 「売り込み」が「急ぎすぎた」かもしれないと気付いたのです。通常、私はサービスを提供する人と長期的でしっかりとした関係が構築できて初めて、その人を私の仲間に紹介するのだということを彼に説明しました。彼はありがとうと言い残し、次なる犠牲者に向かっていきました。 彼のやり方はネットワーキングではなく、直接の売り込み、ダイレクトセリングでした(それも質の悪い売り込みだったと、私は言いたいです)。

ちなみに、もしあなたに同じようなことがあれば、私が彼に対して言った返答を使っていただいても構いません。「こんにちは。ごめんなさい、これまでお会いしたことはないですよね。お名前はなんとおっしゃいましたか?

私の考えはこうです。もしあなたと誰かがお互いに知っている者どうしで、信頼関係が築かれており、ビジネスをしたことのある人であれば、私は喜んで私の知り合いを紹介します。それが私が行っているビジネスですし、私の専門家としての人生そのものです。私の仕事は、私がよく知っていて信頼できる人と、製品やサービスを必要としている人を結びつけることですから。

私が受け入れられないのは、自分が知らなくて信頼できない人たちを結びつけることです。つまり、自分が彼らの製品やサービスを使ったこともないのに、その彼らを私がよく知っている人たちにつなげるよう求められることです。前述のように、リファーラルを出すことは、自分も評価されることになります。それが良いリファーラルであれば、あなたの評判は良くなりますし、悪いリファーラルであれば、あなたの評判に傷がつきます。ですから、そのようなリファーラルは本当に提供したくありません。

ネットワーキングは狩猟ではありません。農耕であるということをお忘れなく。ネットワーキングとは、他のビジネスプロフェッショナルとの関係を育むことなのです。「時期尚早な売り込み」はしないことです。それを覚えていれば、より優れたネットワーカーになれるでしょう。

あなたはこのような経験はありますか?

訳=川崎あゆみ