ビジネス成功のためのコーペティション

2024/12/09

コーペティション(Co-opetition)は「coopetition」とも綴られますが、協力(cooperation)と競争(competition)を組み合わせた言葉です。これは、競合する市場において価値を獲得するために、競争そして協力を同時に行う企業間の関係を表しています。コーペティションは、多くのビジネスパーソンが気づいていない、また活用していない成長の道筋を提供するものです。

BNIグローバル学習・開発ディレクターであるスティーブ・レンツ博士は、コーペティションは、小規模企業の経営者や大企業の経営者、その他のビジネスプロフェッショナルにとって戦略的な施策として活用できる画期的な転換となり得ると述べています。

従来、ビジネススクールでは競争することを教えられてきました。しかし、企業の約半数近くが創業5年内に破綻、経済はより不安定さを増し、顧客の要望も変化し、市場の複雑化が進む状況においては、コーペティションを戦略として取り入れるのに相応しい時期と言えます。

コーペティションパートナーを探す理由

ビジネスパーソンやBNIのようなネットワーキンググループのメンバーは、ビジネスの専門性を特化させることで、競合相手と協力しながら市場内で価値を獲得することが可能になります。

話は1983年に遡りますが、私が経営コンサルタントをしていた頃、異なる専門分野を持つ他の経営コンサルタントと一緒に活動していました。私の専門分野は、主に戦略立案と人事の分野でしたが、一緒に活動していた経営コンサルタントたちは、競合になり得る人たちでした。ただし、彼らの専門は主に財務分野で、私たちはお互いのクライアントを奪い合わないという相互合意のもとで、協業することにしました。形式上、私たちは競合関係にありながらも、非常に協力的に仕事を進めていました。このようにして私たちはそれぞれの専門分野で活動しながら、加えて顧客には良質なサービスを提供し、ビジネスを拡大することができたのです。

レンツ博士の質的研究によって、ほとんどのコーペティションは知人同士から始まっていることが多いということがわかりました。個人的な関係であれ、仕事上の関係であれ、コーペティションのパートナーシップ関係を成功させている多くの人は、友人や家族、過去に一緒に働いた人たちと構築した関係を頼りにしていました。彼らはそれらの戦略的パートナーシップを創出し構築するために、自らのネットワークを活用していました。

コーペティションに求める最も重視される資質は、信頼です。コーペティションのパートナーシップを結ぼうとするのであれば、信頼が不可欠です。なぜなら、パートナーとの関係が、あなたの評判にも結び付くからです。また、パートナーも確かな能力を持ち、お互いの基準そして顧客の基準に従って行動し実行することができなければなりません。

文化や価値観を共有し、相互に尊重しあうことが関係を良い方向に導きます。また、互いに助け合うため共に協力する姿勢も必要です。一方的な関係では、成り立ちません。

コーペティションの4つの段階

コーペティション関係を構築する中には、一般的に4つの段階が存在します。

  1. 開始: この段階では、自社のサービスで不足しているもの、改善が必要なものを特定し、パートナーとなる人が何を提供できるか協議します。まずはコミュニケーションを取り、相手の能力を評価し、初期の話し合いを通じて、お互いに期待するものを明確にしていくプロセスから始まります。
  2. 発展: この段階では、パートナーは信頼を築き、関係を発展させ、一緒に働く方法を決定します。レンツ博士の研究によると、この発展の段階では最初に個人的な関係から始まった場合は、次第に仕事上の関係に変わり、仕事の関係から始まった場合は、より個人的な関係に変化することが分かりました。
  3. 評価: これはプロセスの中で最も重要な段階かもしれません。次のように自分たちを問い直す必要があります。私たちは、期待した価値を得られているだろうか?改善の余地はあるだろうか?パートナー関係解消の時期なのか、それとも継続するべきだろうか?
  4. 維持: この段階も重要です。継続的にコミュニケーションを取り合い、互いに新たな機会を見つけ出し、関係が引き続き発展するよう努めます。相互に有益で利益につながると双方が判断した場合、関係を継続することが求められます。

コーペティションは、起業家や小規模事業者、スタートアップ、そしてBNIチャプターにとって効果的なビジネス戦略です。それは、物事の不足していることばかりに注意を向ける「スケアシティ・メンタリティ」に対して、豊かさにフォーカスする心持ち「アバンダンス・マインドセット」の視点に基づいた考え方です。あなたは、潜在的な競合相手とコーペティションの手法で連携した経験がありますか?

訳=川崎あゆみ