ビジネスの世界に身を置く人たち、特に新人がよく抱く誤解のひとつに、「マーケティングやビジネスの学位を取れば、自分の事業を所有・運営したり、あるいはそこで働いたりするためのスキルがすべて身につくと考えていることがあります。
しかし、大学で教わった手順に従っているにもかかわらず、ビジネスの現場で悪戦苦闘し、途方にくれている人たちを、私は何度も見てきました。学位取得後に、より高度なビジネステクニックに特化したプログラムに参加したり、BNIのようなプロフェッショナル組織に参加したりしたときに、初めてビジネスで本当に重要なことに気づくのです。そこで初めて、ビジネスにおいて真に重要な3つの概念について学ぶことになるのです。
ソーシャルキャピタル(人間関係資本)
ソーシャルキャピタルとは、あなたの人とのつながりの背後にある価値のことです。人間関係、そして時間とともに高まっていくその潜在的な価値は、ビジネスにおいて極めて重要です。こうした関係性は個人的なネットワークであれ、仕事上のネットワークであれ、いずれもビジネスチャンスや質の高いリファーラル、斬新なアイデア、メンターやブレインストーミングできる仲間を得ることにもつながり、最終的にさらに大きなビジネスの成功へとつながっていきます。
関係性を築くときには、それぞれのつながりが持つ強みと弱みを見極め、弱い関係性については、育てていくことに意識を向けてみましょう。自分のビジネスを成長させようとする中で、ビジネス以外のことに注力するのは、一見意外に思われるかもしれません。でも関係構築に注力することは、結果的にはより大きな成功を
もたらしてくれるのです。
エモーショナルインテリジェンス(感情知能)
自分自身の感情を認識し、評価し、コントロールする能力、そして他人の感情を鋭く察知する能力は、人生のあらゆる場面でのコミュニケーションを向上させ、人とのつながりを築く力を高めてくれます。実際、EQ(感情知能指数)が高い人ほど、よりソーシャルキャピタルを築きやすいことが研究によって示されています。
周囲の人が自分に対してどのように反応しているかを観察し、相手一人ひとりに合わせた関わり方ができるようになると、相手からの反応も、好意的なものになっていくでしょう。決して特別難しいことでもありませんが、決して簡単なことでもありません。EQを高めようと努力する中で、すぐに成果が出なくても落ち込まないでください。
ネットワーキング
ネットワーキングとは、ビジネスを拡大し、知識を深め、あなたの影響力の及ぶ範囲を広げたり、地域社会に貢献するために、人間関係を築き、それを活性化させるプロセスです。
残念ながら、この極めて重要なビジネススキルは、高等教育ではほとんど扱われていません。ネットワーキングは、エモーショナルインテリジェンス(感情知能)とソーシャルキャピタル(人間関係資本)の要素を合わせ持った高度なスキルであり、あなたのビジネススキルセットに加えておくべき重要なツールの一つです。
非常に多くのビジネスパーソンが、なんらかの形でネットワーキングを通じて、成功を上げたと答えていますが、これは偶然ではありません。ネットワーキングで思うような成果が出ていないとしたら、それは単にソーシャルキャピタルとエモーショナルインテリジェンスの基礎がしっかりと築けていないだけかもしれません。というのも、ネットワーキングは対面でのマーケティング手法とソーシャルキャピタルを結びつけるための手段にすぎないからです。
最先端技術を導入しない企業が衰退し、困難に直面していくのと同じように、こうした知見を何らかの形でカリキュラムに取り入れないビジネススクールの卒業生(そしてその出身校)は、急速に時代に取り残され、競争に追いつけなくなってしまうことになるでしょう。
一般的なビジネス教育では教わっていないと感じる、重要なビジネススキルは他にありますか?そのようなスキルはどのようにして身につけましたか?ご意見をお聞かせください。ありがとうございました!
訳=川崎あゆみ