2024/01/29

競争が激しい現代のビジネスの環境においては、力強く明確なアイデンティティを確立することは、あなたのビジネスにとって最も重要なことです。そのアイデンティティは、会社のロゴやブランドカラーなどのビジュアル要素だけではなく、あなたが投影するイメージ、ポジショニング、ターゲットとする人々の中に印象として長く記憶されます。『Marketing on a Shoestring』の著者ジェフ・デヴィッドソン氏が、私たちは「イメージ」の時代に生きており、ビジネスのイメージが与える影響は否定できないものだと巧みに表現しています。ビジネスの規模にかかわらず、あなたの成功は、あなた自身をどのようにポジショニングし、どんなイメージを創るのかに大きくかかっています。

「ポジショニング」という概念は、アル・ライズ、ジャック・トラウト両氏によって1980年代初期に広まりました。彼らは、現代のコミュニケーション過剰な社会において、実際にはほとんどコミュニケーションが取られていないということを指摘しました。

溢れる情報の中において存在感を出し、持続的な印象を残すためには、適切な場所とタイミングが合って初めて最も効果的なミュニケーションが成り立つことを認識しながら、企業はターゲットとする人々の心の中に独自のポジションを構築しなければなりません。

誰かの心の中にポジションを築くためには、「最初」であることが最も効果的な方法の一つです。ニール・アームストロング氏がいい例です。彼は、人類で最初に月面を歩いた人として、その事実は広く知られています。しかしNASAのその後のミッションによって、月面を歩いたほかの宇宙飛行士の名前を挙げてみてください。誰も思いだせないのではないでしょうか。記憶にずっと残り続ける。これが、「最初」であることが持つパワーなのです。

あなたのビジネスを効果的にポジショニングできれば、あなたの発するメッセージが明確になります。それによって他の人は、あなたの会社が何をしていて何を提供しているのかを理解しやすくなることから、説明するための時間もリソースも節約することができます。あらゆるネットワーキングの場、広告、メッセージ、社員、オフィスの隅々にいたるまで全てのものが、あなたのターゲット市場に対して一貫性があり記憶に残るような共通した要素を伝えることに寄与していなければならないのです。

あなたが確立するビジネスのアイデンティティは、独自性があり、あなたの明確なゴールと価値に沿って作られる必要があります。あなたが目指すのは、急成長する業界でリーダーになること、あるいは既存の大企業に対して、魅力的な選択肢となることかもしれません。あるいは、あなたのビジネスは年中無休のサービスだとして、完全予約制の専門店として知られているかもしれません。目まぐるしく急速に変化する、競争の激しい今日の環境においては、差別化されたアイデンティティを生み出すことは、それをする・しないの選択の問題ではなく、生き残り、成長するために必要なことなのです。

ポジショニングすることは、あなたが役に立ちたいと願っている人たちの心の中にアイデンティティを創り、確かな場所を確保することにつながります。

3つの基本的な質問に答えることから始める

1.あなたが目指すものは何ですか?

あなたが核とする目的と価値を明確にしましょう。あなたのビジネスは何ですか?あなたの信念は?長期的な目標は何ですか?

2.あなたが提供するものは何ですか?

あなたが提供する商品とサービスを明確にしましょう。どんな点が他社と違いますか? それが他社より勝るのはなぜですか?その商品やサービスは、顧客のどのような問題を解決しますか?

3.誰に対して提供するものですか?

あなたがターゲットとする人を特定しましょう。あなたが提供するものによって最もベネフィットを得られる人は誰ですか?あるいはどんな組織ですか?その人たちのニーズ、好み、抱えている課題は何ですか?

これらの側面について明確なビジョンを持つことができたら、ビジネスのアイデンティティを創り始めることができます。このアイデンティティは、あなたのマーケティングツール、ウェブサイト、顧客や従業員とのやり取りに至るまで、あなたのビジネスの全ての側面に浸透するものでなければいけません。一貫性があることが大切なのです。

ビジネスのアイデンティティ、ブランド、イメージを創るため、学ぶことに集中しましょう。毎日、このトピックについてより深く探求するために時間を作り出してください。オンライン上には、貴重な情報、例えば記事、ブログの投稿、書籍、講座などが豊富にあります。そのテーマについて自分自身を教育すればするほど、あなたのビジネスのアイデンティティを効果的に定義し、それを伝える能力が身についていくでしょう。

力強く、記憶に残りやすいアイデンティティを創ることは、あなたの旅を成功させるために非常に重要な要素になります。あなたのアイデンティティは、あなたを他より際立たせ、あなたの価値を伝え、長く印象付けることができます。あなたのビジネスのアイデンティティを創るプロセスについて、掘り下げて研究することに是非チャレンジしてください。上記にあげた3つの基本的な質問に答えることからスタートし、時間をかけてリサーチし、学んでください。一週間もすれば、自分が自信を持って他の人にシェアできるビジネスのアイデンティティについて明確な答えが見つかることでしょう。


この記事は、Dr.アイヴァン・マイズナーによる「Create an Identity for Your Business」を翻訳したものです。
原文:https://ivanmisner.com/have-you-created-an-identity-for-your-business/
翻訳:川崎あゆみ

2024/01/22

ビジネスの世界において、良質のリファーラルは黄金のようなものです。素晴らしいリファーラルは、扉を開き、機会を生み出し、あなたの専門家ネットワークをより強化します。しかし、多くの専門家たちが知りたいのは、“あなたのネットワークからリファーラルを受け取るにはどれくらいの時間がかかるのか “ということです。その答えは、あなたが思っているほど単純なものではありません。リファーラルを交し合う関係を構築するには、ただの友人から親友になるまでの関係構築のプロセスと同じで、時間と労力を必要とします。これらの貴重な人脈を育むための時間の流れについてお話ししましょう。どのようにそのプロセスを進めていくのかについてお伝えしたいと思います。

友情と似ている点

リファーラルを交し合う確固たる関係は、友人関係が徐々に進展していくのと似ています。どれほど多くの人とつながっているかというの問題ではなく、あなたが相手とどのような関係を築くのか、つまり関係性のの問題になります。Journal of Social and Personal Relationshipsという学術誌に掲載された2018年の研究では、友人関係を築くまでにかかる時間を解明しています。記事では、知人を「普通の友人」に変えるにはおよそ50時間の交流が必要であることを明らかにしています。そこから「本当の友人」になるには合計90時間、そして「親友」に到達するためには、200時間が必要です。研究によれば、「友情の度合いは、一緒に過ごす時間や共に取り組む活動、日常会話の頻度に応じて、調査されました」とのことです。

リファーラルのための信頼構築

では、この話をビジネスリファーラルの分野に置き換えてみましょう。あなたのネットワークからリファーラルを受け取るには、リファーラルパートナーと信頼を深め関係を築く必要があります。その過程での焦りは禁物です。従って、もしあなたの心がはやってリファーラルをすぐにでも欲しいと考えているのであれば、戦略の見直しが必要となるかもしれません。多くの場合、定期的にリファーラルを交わすのに必要な信頼を育むためには、90時間から200時間は、有意義に交流する時間が必要となります。

90時間から200時間と聞くと相当長い時間だと思われるかもしれませんが、これは私がBNIで経験してきたこととぴったり一致します。メンバーとしてのBNIでの活動が90時間を超えると、大半のメンバーがリファーラルをそれまで以上に受け取れるようになります。BNIが2012年に発表した独自調査では、メンバーとしての活動が200時間を超えると、入会した年に受け取ったリファーラル数と比較して平均5倍以上のリファーラルを受け取れていることがわかりました!そうです。文字通り、リファーラルパートナーと強固な関係構築ができれば、リファーラルは500%以上にも増えるのです。

リファーラルの成功を加速させるステップ

リファーラルを前提としたビジネスを構築するためには、有意義な関係を育むことを含めて非常によく練られたプロセスをたどることになります。この旅を加速させ、より早くリファーラルを受け取るには、以下4つの非常に重要な質問を自身に問いかけてみてください:

1.仲間との関係性を築いていますか?

リファーラルパートナーと積極的に関わり、彼らを知るための時間を費やしていますか?信頼の構築は一方通行ではなく、双方向的なものですから、あなたの努力は必ず報われます。

2.自分の価値を示していますか?

ネットワークの仲間たちに対して定期的に刺激になり、学びになるプレゼンを行い、あなたが顧客に提供する価値を伝えましょう。あなたの専門性を示すことができますし、あなたへの信頼度が高まります。

3.お返しができていますか?

ネットワーク内でビジネスを行うことで、仲間たちに対して影響力のある推薦のことばを贈ったり、仲間のビジネスを他の人に紹介したりすることができます。与え、与えられという関係においては、リファーラルをお返しするという形で報われることがよくあります。

4.最新情報に接していますか?

ネットワークの仲間と定期的にミーティングを行い、彼らのビジネスについて学び、最新の情報を得ておきましょう。仲間のビジネスについての知識を持っていれば、自信を持ってあなたの人脈から仲間に紹介することができますし、仲間との絆も深まります。

関係性の深さ

リファーラルを前提とするビジネスを構築するためには、強力で個人的なネットワークを構築することに尽きます。もしあなたのネットワークが広く浅ければ、あなたのビジネスに変化をもたらすようなリファーラルを受け取ることはできないでしょう。これらの基本的な戦術に従って、お互いに信頼しサポートしあう強力な人間関係構築を一生懸命していけば、リファーラルを得るための道が開けてきます。

ネットワークからリファーラルを受け取るまでの道のりは短距離走ではなく、マラソンです。そのプロセスを早める最善の方法は、あなたがネットワーキング活動する仲間との関係を築くプロセス時間を費やすことです。ここで説明したステップに従うことで、リファーラルを受け取るまでの時間を早めることができます。ネットワーキングとは狩猟ではなく、農耕であることをお忘れなく。それは、他の専門家たちとの関係や友情を育むことです。ですから、忍耐強く、根気強く続けましょう。そうすれば、やがてあなたのネットワークは、あなたのビジネスを一変させるようなリファーラルの貴重な源となるでしょう。


この記事は、Dr.アイヴァン・マイズナーによる「Building Referral Relationships: The Art of Patience and Persistence」を翻訳したものです。
原文:https://ivanmisner.com/building-referral-relationships-the-art-of-patience-and-persistence/
翻訳:川崎あゆみ

2024/01/15

人は人前で話すことを死ぬより怖いと思っていることをご存じですか?聴衆へ向かって話すことは確かに怖いことかもしれませんね。それが1~2分を超えるものであればなおさらです。聴衆の前に立って、メッセージを伝えたり、アイデアを提起すると考えるだけで、背筋がぞっとすることもあるでしょう。

それでも実際問題として、あなたがどれだけ人前で話すのを避けようとしても、ビジネスネットワーキングでは人前で話すことは避けて通れません。ネットワーキングミーティングでは毎週30秒から1分のプレゼン、商工会議所の会合では10分間の発表、あるいは見込み客に対して30分間で事業内容を包括的に紹介するような機会があるでしょう。何れにしても、あなたは人前に立つことになります。私からのアドバイスですか?それは「深呼吸をして、自分はできると自分自身に言い聞かせる」ということです。

これらの戦略を実行する

とっておきのヒントとして、あなたが人前で話す恐怖に打ち克ち、聴衆を味方に引き入れる自信が持てるようになるための5つの戦略をご紹介しましょう。

1)事前準備が鍵を握る

人前で話す恐怖を和らげるもっとも効果的な方法の一つは、完璧な準備をすることです。「即興」に頼ろうとせず、その代わりに話したいことの筋道を明確に立て、リハーサルをすることです。メモ帳を活用したり、「どこまで話したのかわからなくなってしまった」ということがないよう、話す内容を大きく、読み易いフォントでプリントアウトしたものを手元に用意しましょう。ただし、準備しすぎるのも不安を大きくし兼ねませんから、十分に、でもほどほどにしましょう。自然に聴衆を引き込むためには、準備をしっかりすること、少々柔軟さを持たせること、この2つのバランスを取りましょう。

2)具体的かつ専門性をアピールする

プレゼンを行う際、特にネットワーキングの場において、話の中に情報を詰め込みすぎて聴衆を圧倒してしまわないようにしましょう。トピックはあなたが最も精通していて、心血を注いで取り組んでいるビジネスについて、重要な1つあるいは2つに絞ってください。あなたが一番知識がある内容に集中すれば安心できますし、ストレスも少なくてすみます。聴衆は、あなたのことを専門家として認識し、あなたから熱心に学び取ろうとしていることをお忘れなく。自分の専門性を信じ、自信を持ってあなたのテーマについてプレゼンすることです。

3)サポートツールを賢く使う

印刷物やパワーポイントのスライド、小道具など、視覚的に訴えるものは、プレゼンテーションで使えるツールになります。これらのリソースを活用することで、プレゼンを順調に進めるのに役立ちますし、さらに聴衆をより話に引き込むことができます。しかし、パワーポイントを使用する際は気を付けましょう。プレゼンを引き立てるものではありますが、あくまでも精神的な支えにはなりません。スライドに書いてあることをそのまま読むことは避けてください。パワーポイントをどのように使いこなすべきか、時間をかけて考えましょう。これについては、多くの書籍や記事にアドバイスが出ています。

4)エキスパートとしての役割を受け入れる

重要なことは、あなたが講演者として、その道の権威であることを自覚することです。聴衆はあなたから知識を得たい、つまりあなたが話すことを聞きたいのです。自分が得意なことに焦点をあてれば、自然と自信や信頼感がにじみ出てくるものです。自分自身と自分が伝えたいメッセージを信じることは、講演者としてのあなたが成功するために極めて重要なことです。

5)独創性を発揮し、聴衆を引き込む

これまで良いとされてきた話し方にとらわれないようにしましょう。自分が心地よいと思うさまざまなコミュニケーションの取り方を試してみてください。単に聴衆に話すのではなく、会話に巻き込むようにするのです。プレゼンをQ&Aセッションから始めて、時間をかけて回答することもできます。違ったことをすることを恐れず、聴衆を驚かせてみましょう。ステージを動き回り、聴衆とやり取りをし、予想もしないことをやってみるなど、プレゼンを生き生きとしたものにしましょう。楽しみながら話せば、緊張のエネルギーを前向きなエネルギーに変えられます。あなたの熱意がはっきり表れてくると、聴衆はそれを感じ取り、そして不安も消えるでしょう。

練習、練習、そして練習

人前で話す恐怖を克服する旅のスタートは、練習から始まります。何事も練習することなく上達しませんし、さらにその練習を始めるなら「今」です。1分間のエレベーターピッチのようなちょっとした機会から始め、自信がつくにつれて徐々に話す時間を増やしていきましょう。イベントや研修でのプレゼンテーションなど、話す機会を探しましょう。多くの協会や会員制組織は常に講演者を必要としていますし、エキスパートとしての地位を確立することは、非常にやりがいのあることであり、あなたのビジネスにとって得るものは大きいでしょう。

人前で話すことを恐れる人は増えてはいますが、パブリックスピーチは練習と正しいやり方によって習得できるスキルです。上に述べた戦略に従うことで、自信を深め、より効果的で人を引き付ける講演者になれるはずです。少しくらい緊張するのは当然のことです。正しい考え方とテクニックがあれば、その不安な気持ちを聴衆の心をつかむ力強くポジティブなエネルギーに変えることができます。ですから、人前で話すことへの恐怖にとらわれないでください。自分の知識や専門性を多くの人と分かち合う機会を利用しましょう。人前で話すことへの恐怖を克服し、自分の仕事について他の人々に学んでもらうという喜びを味わってください。

是非あなたのご意見をお聞かせください。以下の質問のいずれか、またはすべてにお答えください。

  • 1から10まで段階があるとして、1が「あまり怖くない」、10が「死ぬより怖い」とします。あなたは人前で話すことをどれくらい怖いと思っていますか?
  • 人前で話さなければならない状況に直面したとき、どのような恐怖や不安を精神的あるいは身体的に感じますか?
  • 人前で話すことへの恐怖に対処するために、あなたが個人的に役に立ち、効果的だと感じたツール、戦術、戦略は何ですか?

この記事は、Dr.アイヴァン・マイズナーによる「How to Overcome the Fear of Public Speaking」を翻訳したものです。
原文:https://ivanmisner.com/how-to-overcome-the-fear-of-public-speaking/
翻訳:川崎あゆみ

2024/01/08

あなたのビジネスにおいて、共創の助けをもって改善できないものはありません。共創は単なる協力よりも、さらに一歩進んだものです。新著「The 3rd Paradigm(第3のパラダイム)」の中で、共著者であるハイディ・スコット・ジュスト博士とダワ・タルヒン・フィリップス氏、そして私は「共創とは、異なる関係者を集めて、お互いに望んでいる成果をベースに置いて、実際に商品やサービスを生み出し、改善し、カスタマイズすること」だと述べました。この本の抜粋の中で、私たちは共創を5つに分類し、それぞれが同じ志を持つ起業家や事業家にもたらすものについて述べています。

共創の5つの型

共創は従来のビジネスモデルと異なります。これについては、後述する2000年の『ハーバード・ビジネス・レビュー』の記事の中で、経営学のC.K.プラハラード教授とヴェンカット・ラマスワミ教授が伝統的な劇場と比較しています。

事業競争は、かつては伝統的な劇場によく似たところがありました。つまり、ステージ上では、役者はそれぞれの役が明確に決まっており、来場者はチケットを購入し、席に座って観劇するだけです。ビジネスにおいては、メーカーや販売代理店、卸業者は取引関係の中で各々の明確に定義された役割を理解し、その役に徹していますが、現在は、その状況にも変化があります。ビジネスは、むしろ体験型劇場のようなもので、誰もがその一部になれるわけです。

これが、共創の魅力的な部分です。つまり、常に共に取り組むという点ですが、解決策を誰と一緒に生み出すか、どのような他のステークホルダーを関与させるかによって、あなたが取り組むことができる、または取り組みたい共創の型が決まります。

全ての組織と同じ様に、共創も特有の制約や課題があることは認識しておくべきです。我々の調査において最も言及された課題点は、人と人との衝突やエゴにどのように対処するかということでしたが、キッチンにシェフが何人もいる場合、これは珍しい問題ではありません。

世界的なイノベーション企業であるボード・オブ・イノベーション社は、特にBtoBの関係性においては次に述べるような6つの障壁も指摘しています。それは、コスト、時間、リソース、生産量、独創性そして変化への恐れです。共創には、計り知れない可能性がありますが、同時にリスクもはらんでいます。あなたのビジネスに適した型の共創を選択することは、課題を克服するための重大なステップです。

ここでは、共創の5つのタイプあるいはフレームワークに注目します。それは、あなたを目的地に導いてくれる可能性のある5つの異なる道筋に例えることができます。どの道を選ぶかは、あなたの旅にとってどれが最適な道だと考えるかにかかってきます。

共創の型の中には、他の型よりもよく知られており、一般的な人々に馴染みのあるものがあります。共創の多くの型は、目に見えるような形で行われていますが、共創の活動であることを認識できる訓練をしていなければ、昔からあるビジネスモデルとよく似ているように感じるかもしれません。しかし実際には、根本的に違うものです。

5つの型を理解する

以下が5つの型になります。

シンクタンク/ブレインストーム: グループや企業が、新しい解決策を見出したり、商品やサービスを開発するために、専門家やサプライヤーあるいはビジネスパートナーを含めた多くの人員を集めます。場合によっては、顧客が「生産」の一部を担うこともあります(例:顧客が自分で運んで組み立てる平箱包装の家具、スーパーマーケットのセルフレジ、空港のセルフチケットカウンターなど)。

クラウドソース: 多くの人々(多くの場合はボランティア)が、ウェブ上のクリエイティブなツール(例:ウィキペディア、キックスターターなど)を使って、商品やサービスを一緒に創ります(多くが無償)。このような共創の形は、創造性の質を向上させることにつながる可能性があり、これもまた我々の調査で言及された共創の利点の一つでもあります。

オープンソース: グループや企業が自社のイノベーションの課題に取り組んだり、データ蓄積に協力してもらうために(例:非営利団体オープンサイエンスセンターやリサーチゲート社)、内外の専門家を多数招きます。これによって、多くの調査参加者に当事者意識が生まれ、リソースを共有したという感覚を持つ状態につながることがあります。

マス・カスタマイゼーション: グループや企業が、顧客の希望に合わせて個別にオーダーされた商品を大量生産します(例:自分の写真がプリントされたTシャツ、自分の好みに合わせたVansのシューズ、カスタマイズされたバッグ)。数千人の起業家を対象にした調査では、アイデアの多様性を共創の大きなメリットとする意見が多く挙げられました。

ユーザー生成コンテンツ: あるグループや企業が、一般の人によって公開された知識やコンテンツ(例えばオンラインに投稿された情報)を活用しています。ネット上には、他の人が投稿した情報(ブログやフォーラムでの顧客のフィードバック、YouTubeの動画、ソーシャルメディアのプラットフォームなど)を素早く見つけるためのさまざまなウェブツールがあります。これもまた、共有リソースにアクセスできるという素晴らしい例であり、多くの調査参加者が共創の利点の1つとして挙げています。

2つのカテゴリー

これら5つの共創の型を、2つの異なるカテゴリーに分類することもできます。

グループや企業がプロセスにおいて果たす役割に応じて:消費者個人なのか、それとも企業なのか、誰がプロセスを舵取りするかということ。

価値創出の種類に応じて:あなたの価値提供が全ての顧客が享受できる標準的な価値なのか(よりよい良質の商品やサービスを共創する)、あるいは顧客それぞれに合わせたパーソナライズされた価値なのか(個別にカスタマイズされた商品やサービスを共創する)ということ。

上記の5つの型による共創は、何かをより良くしたり、独自性のあるものを作り出すことに関連しています。独自性がそのビジネスのバリュー・プロポジション(価値提案)であれば、平均的な商品であっても、共創の価値によって得られるものを活かすことで市場において成功を収める可能性があります。もし、そのビジネスの価値提案が何かを改善することであるならば、平均的な商品であっても顧客や消費者の力を借りて改善を実現することにより成功を収めることができるのです。

そのため、共創は新興ビジネスのみならず既存のビジネスにおいても適用されるケースが増え続けています。あなたとあなたの会社では、どの型の共創がお役に立ちそうですか?

ご覧の通り、共創は価値創出の連鎖の中でさらなる価値を解き放ち、その価値をあなたや周囲の人の成功に役立てることができるのです。ひと昔前のモデルに縛られた中で価値生成を続けるのではなく、あなたが信頼する人たちと関わりながらあなたの価値を最大化することができたら、素晴らしいと思いませんか?あなたの仕事に最も関心を寄せる人たち、つまりあなたの顧客、そしてあなたの商品やサービスを利用する消費者やステークホルダーとの関係性を高め、彼らの才能や知識、スキルを活用することは有意義なことではないでしょうか。

共創の助けを借りて改善が図られなかったり、手が付けられないようなビジネスは存在しません。あらゆるビジネスのあらゆる分野において共創の力を開放し活用することで、まだ人が気づいていない手付かずの大きなスケールの価値を見出すことができるはずです。あらゆるビジネスは、共創のプロセスを受け入れ、顧客や消費者、ステークホルダーの間で同様に生み出される信頼と投資を拡大することで、より大きな成功を収めることができるはずです。


この記事は、Dr.アイヴァン・マイズナーによる「Co-Creation Can Boost Creativity, Community and Sales for Your Business. So What Is It?」を翻訳したものです。
原文:https://ivanmisner.com/co-creation-can-boost-creativity-community-and-sales-for-your-business-so-what-is-it/
翻訳:川崎あゆみ