2024/07/29

ある朝、我が家に私の良き友スチュワート・エメリー(Success Built to Last著者)が訪ねてきて、朝食をとっていたときのことです。彼がコンピューター業界の有名な億万長者にインタビューしたときの話をしてくれました。その億万長者の体験談は、彼の会社の買収に関心を持つ、ある会社の幹部たちが、買収協議のため彼の会社を訪問したときのものでした。

ランチタイムにその億万長者の経営者は、訪ねてきた役員たちに会社の役員用の食堂にお連れすると伝えました。彼について行った食堂は、とても良い食堂ではあったものの、豪華さからはかけ離れたものでした。しかし、それが大きな驚きではありませんでした。驚きだったのは、その食堂ではビュッフェに列ができていたこと、そして億万長者の彼がビュッフェに向かって歩いていき、トレイを取って、ビュッフェの列の最後尾に並んだことでした。訪問してきた役員一同は、周りを見渡し、食堂が従業員でいっぱいになっているのを見て、そこが「役員用の食堂」ではなく社員食堂であることに気付いたのです。社長である彼は、他の社員と同じ列に並び、皆に声をかけていましたし、どの従業員も躊躇することなく、彼に話しかけていました。

私が思うに、彼は社員の上に立って率いているのではなく、彼らと共にいながら率いていたのです。スチュワートが教えてくれたのですが、その彼が言うには、訪問してきた役員一行は彼や彼の会社の全ての幹部たちが全社員と一緒に食事をしているという事実に驚いていたそうです。一行の中の一人が、「この状況は好ましくない、変えなければ」と言いました。実は、これは彼らを試すためのテストだったのです訪問してきた会社は、自分の会社を売却したいと思える相手ではないと判断し、その日のうちに交渉を終了させました。

選ぶべき道

会社には、選択肢があります。組織文化として排他的になることもできれば、包括的な組織文化を目指して、取り組み、尊重し、受け入れるかを選ぶことができます。

時々、私に会った人たちは、私が「親しみやすい人で驚いた」と言うことがあります。これは興味深いことだと感じます。人々がそう感じるのは、時に私たちはリーダーとして近寄りがたいと思われるような行動をとってしまっているからだと思います。中には、自分が他の人より「優れている」ように振る舞うリーダーもいます。

私は、リーダーに親しみやすさを感じたときではなく、近寄りがたいと感じたときに驚くべきだと考えます。問題は、私たちは時に成功が(組織のリーダーたちとその他の人たちとの間に)分断を生む世界に生きていることです。成功を収めた企業が受け入れるべき重要なことの一つは、上司や経営者、役員たちがむしろ誰に対しても親しみやすい存在であるという感覚を持つことです。

私は、BNI®を経営し成長させてきた年月や、組織の中で人々と過ごしてきた機会をどれだけ楽しんできたか、そして今でも楽しんでいることを振り返るとき、スチュワートの話を思い出します。


この記事は、Dr.アイヴァン・マイズナーによる「Leading from “Among” Not from “Above”」を翻訳したものです。
原文:https://ivanmisner.com/leading-from-among-not-from-above/
翻訳:川崎あゆみ

2024/07/22

ささやかなお礼状を送ることなんて、ビジネス全体から見ると、大したことではないように思えるかもしれません。昔ながらの個人に宛てた手書きのお礼状は、大部分がメールやSNSメッセージに取って代わられています。それとも、感謝の気持ちを伝えるという行為自体、なくなっているのでしょうか。

Eメールは最も簡単なコミュニケーション手段のひとつですが、最も効果的ではない方法かもしれません。Eメールは送るのにほとんど労力がかからないため、大量に送られます。そのため受け取った人はすぐに削除してしまうからです。テキストメッセージも同様です。あなたのメッセージが送る相手に合わせたものでなければ、恐らく目にも留まらず、読まれることなく、気付かれることはないでしょう。

昔ながらの手書きのお礼状を手紙やはがきで、最後に受け取ったのはいつですか?そのときのあなたは、どのように反応しましたか?誰かが時間をかけて特別にあなたのためにしたためた便りを読んで、あなたはどう感じましたか?私たちの多くは、送ってくれた人の時間と労力に対し感激し、感謝の気持ちを抱きます。そのお礼状は、デスクやテーブルの上に数日間あるいは数週間置かれ、何度となく読み返され、嬉しさを感じさせるものになるでしょう。

人に感謝する

仕事仲間や顧客、クライアントに対して感謝の気持ちを表すことは、リファーラルにつながり得る人間関係を育む重要な基礎となります。人は、期待以上の仕事をするプロフェッショナルたちを知り合いに紹介したいと思うものです。感謝する機会を通して、私たちの存在感を表すことができます。

あなたは、お礼状を書いている時間なんてないと思うかもしれませんね。でも、もう一度考えてみてください。通勤電車の中、子どもと車の中でスクールバスを待つ間、一人でのランチタイム、病院の待合室、あるいは10マイルの渋滞に巻き込まれて立往生している車内など、あなたは、そんな状況に陥ったことがありませんか?

今挙げた時間の全ては、あなたにリファーラルを出してくれた人や個人的に人を紹介してくれた人、イベントに手を貸してくれた人、あるいは問題を解決してくれた人に向けて心を込めて感謝の手紙を書くことで、ネットワーキングにおける関係を強化するための貴重な時間になります。(大切な注意点:手紙に名刺は同封しないでください。名刺を添えた途端に、あなたの宣伝になってしまい、感謝の手紙ではなくなってしまいます

意識的に感謝を伝える

感謝の気持ちを、意識的に伝えましょう。毎週時間を決め(そうです、仕事用のカレンダーに記入するのです)、お礼状を書いて発送しましょう。白紙のはがきと切手を、車の中やブリーフケース、カバンに入れておきましょう。そして、数分間の隙間時間ができたら、お礼状を書き、次に郵便ポストを見かけたときに投函できます。

とはいえ、どれだけ私が伝えても、手書きでお礼状を書かないという人がいることはわかっています。そこで、米国内のSendOutCards.comのようなパソコンで手書き「風に見える」はがきを郵送してくれるサービスを探してみるのも一案です。

大切なことは、あなたのために時間や労力を費やしてくれた人に感謝するときに、ただ感謝するだけではなく、手を動かしてその人たちに感謝を伝えることです!心からの感謝の気持ちであれば、伝えるのに遅すぎるということはありません。

感謝の気持ちによって、つながりが深まります。個人的なお礼状を送るには、それほど時間もコストもかかりません。でも周囲の人やあなた自身には、大きな影響を与えます。手書きのはがきは、ビジネスの全体に大きなインパクトを与えることができるのです。


この記事は、Dr.アイヴァン・マイズナーによる「Why Send a Thank-You Card?」を翻訳したものです。
原文:https://ivanmisner.com/why-send-a-thank-you-card/
翻訳:川崎あゆみ

2024/07/15

まず、私は、機械いじりが苦手だと認めます。子どもの頃、ある日私の父(大抵のものは修理できる人でした)にガレージに連れていかれ、「息子よ、お前は手先を使う仕事は向いていないので、大学に行く方がいい」と言われました。そうです、父の言ったことは正しくて、素晴らしいアドバイスでした。父の忠告に従って、物事はかなり順調に進んできたと思います。

自分が機械いじりが苦手だということは認識していますが、触媒コンバーターがあなたのビジネスとネットワーキングにどう関わるのかについてお話しできます。

触媒、つまり「カタリスト」とは、反応を引き起こすための物質のことですが、ネットワーキングにおけるカタリストは、物事を実行、実現させる人のことです。カタリストがいなければ、火花が起きることもなければ、物事はほとんど何も進展せず、変化も起きません。

あなたのビジネスとネットワークにおけるカタリストになるために、あなたにとって何が必要なのでしょうか?次の4つの要素、「主体性」「意図」「自信」そして「モチベーション」が必要です。

カタリストになるための4つの秘訣

主体性

カタリストは、じっとしていることはありません。彼らの人生におけるあらゆる側面で物事を動かします。ネットワーカーとして、解決が必要とされる問題に対して常に注意を払い、即座に行動に移します。自分のネットワーク内でその問題の解決のために手を貸してくれる人に連絡を取ります。彼らは、「今すぐやる」という意識をもって行動します。

意図

カタリストは、意図を持って目標達成に向け努力します。ネットワーカーとして、ビジネスとネットワーキング両方の目標を持っています。彼らは他人の目標を理解し、その望む場所に到達できるよう手助けすることに時間を惜しみません。

自信

カタリストは、自分自身、そして自分の仲間にも自信を持っています。これによって、目の前の仕事が、素晴らしい成果をもって達成されます。

モチベーション

カタリストは、自身が高いモチベーションを持っているだけでなく、他の人がそれぞれが持つ能力を最大に発揮しようという気にさせます。自分の言葉と行動を通して、熱意とワクワク感を他の人に伝えることで、他の人が貢献しようという感情を引き起こすのです。彼らは、個人的に、そして専門家として利益を得ることにモチベーションを感じており、またそれを他の人と共有したいと強く願っています。そして他の人が成功するための手助けをしたいと心から考えています。

もし、あなたのビジネスに役立てるために自らのネットワークを活用したいのであれば、カタリストとなることを目標としましょう。あなたのネットワークを、一列に並べられたドミノだと考えてみてください。あなたが一つ目のドミノを動かすまでは、各々のドミノは立ったままです。思い出してください。カタリストは行動を起こします。一つ目のドミノを倒し、連鎖反応でドミノが倒れていくのを見てみましょう。あなたのネットワークは所定の位置に立ち、あなたが駒を動かすのを待っています。

もしあなたが、ドミノの列を見てそこに動きの流れを止める隙間があることに気づいたらどうしますか?あるいは、もしかすると自分が思ったほどの数のドミノ(ネットワーキングパートナー)がないかもしれません。ネットワーキングのカタリストになるためには、まず十分な数の仲間がいて多様なネットワークを持つ必要があります。潜在的なリファーラルパートナーとつながり、お互いに利益を得られる関係を築くために、時間と労力をかけて、ネットワークを拡大しましょう。


この記事は、Dr.アイヴァン・マイズナーによる「How to Become a Networking Catalyst」を翻訳したものです。
原文:https://ivanmisner.com/how-to-become-a-networking-catalyst/
翻訳:川崎あゆみ

2024/07/08

私の息子が10代の頃、「宿題の進み具合はどう?」と子どもにとっては恐ろしい質問をすると、彼は典型的なティーンエージャーらしく、視線をそらして、「夕食のあと仕上げるつもりだよ」とお決まりの返事をしていました。

たとえ子どもがいない方でも、あなた自身がかつては子どもだったわけですから、ほとんど誰もがこの状況に共感できると思います。子どもの頃は、宿題をやり終える義務があることは決して楽しいことではありませんでした。しかし、正直なところ、自分の行動や成績、約束に責任をもたされると、自分が何に対して責任があるのか、何をすると約束したのかについて、より意識が高くなる傾向にあります。

あなたのビジネスにおけるネットワーキングにおいても同様です。責任を持つことは、大切です。あなたが「会社、または自宅オフィスから外に出て生産的なネットワーキングの会合に出席する」という約束をしても、時として他の用事が入ってしまい、この約束を忘れるということもあります。いったい、どうしたらよいのでしょうか。

ビジネスネットワーキングにおけるアカウンタビリティ

アカウンタビリティパートナー、つまり、お互いに責任を持ちあえるパートナーを見つけましょう。それによって、あなたが新たなネットワーキング戦略を立てたり、ビジネスネットワーキングイベントに参加する度に、アカウンタビリティパートナーにあなたがそのタスクを実行しているかどうか確認してもらうことができます。毎週電話かビデオ通話でミーティングを行い、その週の戦略を確認しましょう。あなたの活動の進捗状況についての報告を誰かが待っていると、目の前の自分のタスクに集中しやすくなるでしょう。

理想のアカウンタビリティパートナーを見つけるために、これらの質問を自分に問いかけ、答えを書き留めてみてください:

  1. 仕事仲間で深く尊敬できる人は誰ですか?
  2. 私がするべきことに集中するように、遠慮なく少しプレッシャーをかけてくれる人は誰ですか?
  3. 私が決して失望させたくない人を一人選ぶとすればそれは誰ですか?
  4. お互いにアカウンタビリティパートナーになりうるような、自身のビジネスをネットワークを通じて拡大させることに関心がある人は誰かいますか?
  5. 私のことをよく知っていて、私に物事を先延ばしにしがちな傾向があることを理解しているのは、誰ですか?
  6. 私との約束を最後までやり遂げてくれる人は誰ですか?
  7. 私を手助けしてくれる時間がある人は誰ですか?

それぞれの質問に対し、最低一人を挙げてください。いくつかの質問では複数の名前が挙がるかもしれません。7問全てに答えることで、あなたのアカウンタビリティパートナー候補を特定することができますから、その人たちに連絡を取り、話をしてみてください。

考えてみましょう。誰も他人を意図的にがっかりさせたいと思ってはいませんし、他人に時間を無駄にされたくはありません。アカウンタビリティパートナーがいることで、相手との約束を守りたいという気持ちが強まり、より質の高い仕事をしなければならないという気持ちにつながります。それによって大きなネットワーキングの成果につながるのです。

誰かがあなたの行動に責任を負うことになったことで、あなたにとって良い結果になったという経験はありますか?


この記事は、Dr.アイヴァン・マイズナーによる「Finding an Accountability Partner」を翻訳したものです。
原文:https://ivanmisner.com/finding-an-accountability-partner/
翻訳:川崎あゆみ

2024/07/01

あなたの知人は、あなたとの関係を価値のあるものだと感じているでしょうか?あなたは、「価値のある友人」ですか?

この文章を一見すると、友人やつながりが、あなたを「利用する」手段のように感じるかもしれません。でも実際には、人との関係性に価値があるかどうかという視点は、相手との長期的な人間関係を確固たるものにする手助けとなる可能性があります。

ビジネスで影響力を持ち、成功している人は、自身の人脈が、強く、深く、そして大きく広がっていっていくことを望んでいます。そして、あなたは自分の人間関係が、他の人のネットワークを強化し、深め、広げる手助けとなることを望んでいます。「では、どうすればいいの?」と思うかもしれません。

価値ある友人になるには?

まず、あなたがリファーラルを交し合うチームの人たちのことをよく知る必要があります。表面上の付き合いではなく、相手のことを本当に理解し、相手にもあなたのことをよく知ってもらいたいですよね。そのためには、相手がどのように感じているかに注意を払い、あまりにも個人的な質問や立ち入った話をするのは避けましょう。彼らのビジネスや趣味、そして熱心に取り組んでいることについて質問しましょう。

彼らの目標を理解し、役に立てる方法を学びましょう。一度、誰かの目標達成の力になれば、あなたは価値ある友人になります。

ではどうすれば、その価値ある友人になれるのでしょうか。

1.質の高い人間関係を構築する

人間関係を築くには時間がかかります。あなたの時間をかける価値のある投資です。日々の仕事上のやり取りを越え、人間関係を深め、友人やリファーラルパートナーとの関係を理解しましょう。友好関係が深まるほど、お互いのネットワーキングの成果に対しても期待が高くなります。

2.参加すること以上のことをする

これは本当に大切なことです。あなたが所属するビジネスネットワーキングのミーティングやイベントに参加する人と信頼、信用を構築する必要があります。ただ参加をして「私はここにいます」というだけでは、不十分です。あなたが参加することによって、存在を認識されることにはなりますが、VCPプロセス®における信頼を築くためには、ほかの参加者とつながる必要があります。直前の1.「質の高い人間関係を構築する」をもう一度読み直してみましょう。

3.Givers Gain®の理念を忘れない

相手があなたに何かしてくれることを求める前に、あなたが彼らに何ができるかを尋ねましょう。これは、おそらくあなたのネットワークをより深く広げる最も効果的な方法です。あなたが、誰かを紹介することもできます。あなたの知人と誰かをつなげることは、大きな成果につながる可能性もあります。あなたの知識、スキルや専門知識を共有することは、他の人の成功への大きな貢献になり得ます。

皆さんにお伝えしたいのは、人の役に立つことの力を過少評価しないでくださいということです。

誰かが必要とするときに手助けすることは、仕事上での人間関係を構築するきっかけとなります。彼らを知り、彼らのビジネスや目標について学びましょう。手助けを申し出るときは、誠実な態度で。そして実際に行動に移しましょう! 時に、ちょっとした手助けであっても、友人にとっては大きな結果につながることもあります。

あなたは、価値ある友人になるために何をしていますか?


この記事は、Dr.アイヴァン・マイズナーによる「Be a Value-Added Friend」を翻訳したものです。
原文:https://ivanmisner.com/be-a-value-added-friend/
翻訳:川崎あゆみ