2024/08/26

Medium.comというウェブメディアで、「Can You Hear Me Now?(今、私の声が聞こえますか?)」というシリーズ記事に採り上げられ、「アテンション・エコノミーで勝つためにリーダーが取るべき戦略トップ5」についてカレン・マンジャ氏のインタビューに答えたことがあります。記事は4つのインタビューパートから構成されているのですが、その3つ目をご紹介します。

質問

ハーバード・ビジネス・スクールの最近の研究によると、リーダーにとって最も重要なコミュニケーションスキルは、自分のコミュニケーションスタイルを状況に適応させる能力だそうです。あなたはどのようにコミュニケーションスタイルを適応させていますか?

私の返答

自分のコミュニケーションスタイルを適応させるための第一歩は、優れた 「コンテクストを読み取る知性」を持つことです。優れたリーダーは優れたファシリテーターです。彼らは状況の文脈を理解しています。リーダーは自分の知識の限界を認識し、その知識を培った環境とは違う状況に順応します。

型にはまったやり方で導かないでください。すべての状況や人々をまったく同じように扱うことはできません。

リーダーにとって重要なのは、課題に対処するための状況把握能力を身につけることです。これは、現在の状況に適応する能力です。いかなる状況においても、潜在的な問題をすべて想定するということはできません。つまり、適応する能力というものが正に優れたリーダーになるための重要な鍵となるのです。状況を理解し、適応するために最善を尽くしましょう。

しかし、あらゆる不測の事態を予測することはできません。時には、「絶対に問題が起こらないはずのことが起きる」こともあり、途中で起こりうる驚きに対処するための計画を立てておく必要があります。

質問

明瞭さも重要です。注意が分散しやすい職場において、明確なコミュニケーションをとる方法について、どのような教訓を得ましたか?

返答

コミュニケーションは、私の著書『The 3rd Paradigm』の重要な部分です。コミュニケーションを効果的にするためには、リーダーは、次の7つのルールを定める必要があります:

  1. 誰もが発言する - 皆、独自の視点を持っている
  2. 誰もが敬意を払う
  3. 誰もが忍耐強くある
  4. 誰もが正直である
  5. 誰もが透明性を持つ
  6. 誰もが信頼を築く
  7. 誰もが100%コミットする

私が危機に対処しているときはいつも、「コミュニケーションの飽和」と呼ぶ手法を実践していました。透明性を保ち、全員に情報が届いていることを確認するために、私は組織を可能な限り多くの情報で満たしたのです。

次に、これは難しいことなのですが、「吠える犬」を会話に参加させます。これは、あなたが求めているような意見を言う人かそうでないかに関わらず、あなたが部屋に入れないようにしても、部屋の外で吠え続けるような人のことです。吠える犬を扱うのは強いリーダーですが、良いコミュニケーションをとるためにはそれが必要なのです。

カレン:うまくいかないことを経験することで、うまくいくことを発見することはよくあります。期待する結果に至らなかったコミュニケーションの経験と、そこから学んだことを教えてください。

The 3rd Paradigm』から、チームとして一緒に働く際に直面する7つの課題に気付きました:

– 性格の不一致

– 自己主張への対処

– コミュニケーション不足

– 自分の役割を果たさない人たち

– 誰が最終決定を下すかの合意不足

– プロジェクトの方向性を勝手に変える人

– プロジェクトのビジョンとの不一致

リーダーが、文脈的知性と適応力を駆使して、これらの問題に対処する準備があれば、より大きな成功を収めることができるのです。


この記事は、Dr.アイヴァン・マイズナーによる「Communication Skills for Leaders」を翻訳したものです。
原文:https://ivanmisner.com/communication-skills-for-leaders/
翻訳:川崎あゆみ

2024/08/19

「幸せになるための唯一のルール」を知りたいですか?それは……そんな「唯一のルール!」などありません。それは、いくつかの要素を組み合わせてはじめて、あなたが願う人生を手に入れることができる、いわばレシピのようなものです。しかし、そこには一つの真実があります。それは、あなたの人生の質は、あなたが人生において関わる人々によって決まるということです。 

想像してみてください。一つの部屋の中で、あなたは自分の人生を生きていて、その部屋にはドアが一つしかありません。そして、このドアは 「入口専用」のドアで、「出口なし!」です。 このドアから入ってきた全ての人は、あなたの部屋とあなたの人生の中にいることになります!彼らは決して外に出ることはできません。

幸いなことに、これは例え話なのですが、ここでは実際の話だと仮定してみましょう。もしそうであれば、あなたは自分の人生に迎え入れる人をより入念に選ぶでしょうか?私がこれまでに話した全ての人が、「ええ、もちろん!」と答えました。

では、そこで次の疑問です。私たちは、なぜもっと厳選しないのでしょうか。実は、私は「部屋の原則」は例え話以上のものだと捉えています。かつてあなたと人生を過ごした人で、今はもう交流のない人について少々考えてみてください。その人の名前を思い浮かべ、その人があなたの人生にどのような混乱をもたらしたかを思い出してください。恐らく、短気だったり、周囲に悪影響を及ぼしたり、一緒にいるのが難しい人だったかもしれません。思い当たる人はいますか?

さて、もしまだその人が頭に思い浮かぶのであれば、その人はまだあなたの部屋にいることになります。というのも、これから先、あなたが下すあらゆる決断は、あなたが関わったその人との過去の経験にある程度基づくことになるからです。神経科学者のダニエル・エイメン博士は、「あなたが脳で受け取った重要な情報は、神経の活動を引き起こし、脳に刻み込まれたもの、絶対に消すことはできない」と述べています。言い換えれば、その人の指紋があなたの脳のいたるところに残されているということになります。

門番

つまり、最高の人生を創りたいのであれば、あなたの部屋に入る人を選ぶ方法を学ばないといけないということです。そこでお勧めしたいのが、「門番の原理」です。門番は、あなたの部屋と人生への入り口を守る存在です。ここでいう門番とは、あなたの意識と潜在意識のことです。あなたの思考や感情を通じて、ドアを閉じたままにすべきか、あるいは誰かを人生に受け入れるために開けておくべきかを判断するのに役立つプロセスになります。

最初に、あなたの価値観に基づいて門番を教育する必要があります。なぜなら、あなたの価値観と共鳴する価値観を持っている人の入室を認めたいからです。全く同じ価値観である必要はありませんが、あなたの考えと対立したり、不一致なものであってはいけません。重要な価値観の上位5~7つを人に聞くと、大抵は答えが返ってきません。

そこで訓練を開始するのに適した手法を紹介します。あなたが「妥協できない条件」を明確にします。あなたの価値観とは一致しない振る舞いのことです。あなたの部屋、これから始まる人生に受け入れることができないものです。周囲にマイナスの影響を与える、感情的な振舞い、誠実さに欠ける、前向きな態度を取らないというようなことかもしれません。これらは、あなたが一緒にいることに耐えられないことがらです。これらを理解し始めると、自分の周りにあるべきものに近づくのが容易になります。このプロセスを始めるために、インターネット上に自分が送りたいと思う人生の価値観を決めるのに役立つサイトがあります。

自分の価値観を理解し自分の門番を訓練すれば、将来自分の部屋に入ろうとする全ての人を選ぶことができます。ただし、すでにあなたの部屋にいる後ろ向きであったり、雰囲気を悪くするような人たちはどうしましょう?

おすすめの2つの手法

ここで使える素晴らしいテクニックを2つ紹介します。まず、「自然の成り行きに任せること」です。これは、相手との接触や交流を徐々に減らしていくやり方です。完全に関係を断ち切りたくはないけれど、その関係から距離を置きたいと思っている場合、一定期間かけて関係を徐々にほぐしていく方法は、とても効果的です。これは、あなたがそれを望んでいなくてもうまくいきます。本当はとても好きだったにもかかわらず、いつの間にか音信不通になってしまった人がいませんか。そうしたことは、自然に起きることではありますが、これを計画的に行うのです。

本当は入れるつもりではなかったのに、部屋に入ってしまった人に対処するための2つ目の方法は、「最低限の接触」です。ホメオパシーとは、少量の治療薬で病気を治療する方法で、ここでは「必要な最小量」という意味です。彼らとの接触を最小限に抑えることで対処するのです。

他人があなたの幸せを左右するのは、あなたがそうするのを許してしまうからです。それをさせてはいけません。その代わりに、自分の部屋に入れたい人たちを慎重に選び、夢の人生を創り上げていきましょう。


この記事は、Dr.アイヴァン・マイズナーによる「The One Rule to Happiness」を翻訳したものです。
原文:https://ivanmisner.com/the-one-rule-to-happiness/
翻訳:川崎あゆみ

2024/08/12

P.S.は、「postscript(追伸の意)」の略語です。追伸の定義は、手紙やEメールの末尾で署名をした後に、本文に書かなかった短いコメントやメッセージを追記するために使われるものです。

拙著『Networking Like a Pro 2nd Edition』の中で、共著者であるブライアン・ヒリアード氏と、定型化したリファーラル戦略を構築することによって多くのリファーラルを得る方法について意見を交わしています。そのアイデアの一つが、Eメールの署名欄に短く追記、つまりP.S.のメッセージを加えるというものです。これは、簡単な方法ですが、あまり使われていない戦略です。

自動メール署名の最後に、以下のようなメッセージを含めるという提案です:

P.S. 私が紹介していただきたいのは、企業や団体でのセミナーに講師を招く仕事をしている方です。もし、マーケティングやマインドセット、自己達成についての講師を探している方をご存じでしたら、私のことをお伝えいただけましたら幸いです。ありがとうございます!

ブライアン・ヒリアードのすべてのメールには、このようなメッセージが含まれています。これらの簡単な言葉が驚くほど多くのリファーラルを生み出しています。

変化を加えてみる

あなたが、一段レベルアップしたいのであれば、メッセージを2,3か月ごとに変えることを考えてみてください。これは、季節によって業務内容や忙しさが変わる方にとっては、特に有効です。例えば、3月中はあるリファーラルを求め、、6月になると違うタイプのリファーラルを求めるのです。こうすることで、あなたのメッセージに新鮮味が出ますし、人があなたのEメールの署名に注目するようになります。

リファーラルは一夜にして生まれることはありません。リファーラルは、あなたの周囲の人たちと関係を深めることに時間や思考、相当量のエネルギーを費やすことによって得られる産物なのです。

あなたがリファーラルを生み出す活動に、メール署名にメッセージを追加するテクニックといった定型化された戦略を組み込めば、間違いなくリファーラルに基づくビジネスは増えることになるでしょう。


この記事は、Dr.アイヴァン・マイズナーによる「Add a “P.S.” to Your Email Signature」を翻訳したものです。
原文:https://ivanmisner.com/add-a-p-s-to-your-email-signature/
翻訳:川崎あゆみ

2024/08/05

ネットワーキングイベントが本当に苦手な人がいます。その理由は何でしょう?いくつかの共通する理由がありますが、私がよく聞くのは、新しく出会った人に自己紹介することへの不安です。

新しく出会った人と会話を始めようとするときに緊張感を覚えたことがあるかもしれません。そんな方のために、初対面の人に対する自己紹介に取り入れると緊張を和らげるかもしれない提案をいくつか紹介しましょう。

・相手に自分の名前と仕事を忘れずに伝えること!
はい、これは本当によくあることです。私があるネットワーキングイベントに参加したときのこと、誰かが私に話しかけてきました。彼らのビジネスやリファーラルネットワーキングの経験について、数分間話をしました。その人たちがその場を去った後、相手は私の名前を知っていたのですが、彼らの名前を聞きそびれていたことに気付きました。もし、あなたが初対面の人に自己紹介し、印象を残すことが目的であれば、必ず相手に名前を伝えるようにしましょう。

・共通点を探しましょう
関係を早く構築する最善の方法の一つは、初対面の人と関連することや共通点を見つけることです。これによって、新しく出会った人と会話する際に、プレッシャーが軽減され、双方が心地よく話ができる話題が見つけやすくなります。

・相手について質問しましょう
人は自分自身や自分のビジネスについて話をするのが大好きです。誰でも自分がよく知っていることについて話すのは簡単だと思うでしょうし、自分自身のことを一番知っているものです。相手に質問することで、その人が会話の主導権を取りやすくなりますし、そしてあなたも相手のことをよく知ることができます。ここでの注意事項は、相手に対して本当に興味を持って質問することです。質問をし続けるためだけに無意味な質問をすると、その意図は見透かされてしまい、あなたに対して悪い印象を残すことになるでしょう。

・印象を残しましょう
もし、あなたが大勢の中で目立って(前向きな意味で)、あなたの印象を残すことができれば、プロフェッショナルな人間関係を構築しやすくなります。これは、複数でのミーティングよりも誰かと1対1での会話をするときに最も効果的です。適切な状況であれば、あなた自身のことやビジネスについてひとひねりした例や表現を使って伝えることで、相手に共感してもらえるようにしましょう。これは、少々社交的なセンスも必要ですが、うまくいえばとても効果的です。

提案したこれらのことを実行することで、ネットワーキングイベントで初対面の人に自己紹介することがもっと楽になるかもしれません。次のミーティングやイベントでやってみてください。何度も繰り返すほど、慣れてくるので、緊張や不安は消えて、自信が持てるようになります。

あなたは、ネットワーキングイベントで初対面の人と会ったときどのように接していますか?


この記事は、Dr.アイヴァン・マイズナーによる「Easier Introductions at Networking Events」を翻訳したものです。
原文:https://ivanmisner.com/easier-introductions-at-networking-events/
翻訳:川崎あゆみ