2025/04/28

このトピックについては、毎週のBNIチャプターミーティングを通して考えはじめました。でも、効果的で成功するネットワーキングについて話すときは、大抵の場合、まずは他の人の役に立つことに話が行き着きます。事業拡大や販売促進のためには自分のことを後回しにして他の人の役に立とうという考え方は、多くの専門家や事業家には直観的に相当理解し難いようです。一方、ビジネスネットワーキングには、他者の手助けをする時間と自分自身のためにリファーラルを依頼する時間があるのです。

与えるとき

ギバーズゲインとは、まず他者に与え、助けることを基本とする考え方です。このアプローチでは、与える側は自らの行動に対して、すぐに見返りを期待しません。注目すべきは、十分な労力と時間を費やす中で、あなたの惜しみない行動があなたのネットワークの関係先や友人、同僚、ネットワーキング仲間から、何度もさまざまな形で返ってくるという考え方です。

私は39年前に、ギバーズゲインの理念をBNIに導入しました。と言うのも、多くのネットワーキンググループがあまりにも利益追求のアプローチであったのを目にしたからなのです。彼らは、対面でのネットワーキングを対面型のコールドコール(勧誘)の機会としていました。でも私は、当時からネットワーキングの本質は人間関係を築くことがすべてであり、その関係構築の最良の方法の一つがまず他の人の役に立つことであると信じており、今もその考えは変わりません。ビジネスやネットワーキングのイベントで誰かに出会った際に、「何かお手伝いできることはありますか?」と尋ねるような、ほんの小さな行動から始められます。

与えることで、私たちは実にさまざまな、そして時に予期せぬ形で利益を得ることができます。

受け取るとき

相手の信頼を得て、強固なビジネス関係を築いたあとは、リファーラルを依頼することが重要です。これは簡単そうに思えますが、一方で多くのビジネスパーソンは関係を構築した相手にリファーラルを依頼することを忘れがちです。私は、クライアントにリファーラルを求めることを習慣にするのは非常に有益だと考えています。リファーラルを依頼する際は、「誰に紹介してほしいのか」「なぜその人なのか」を明確に伝えましょう。一見、直観に反しているように思えるかもしれませんが、実際には、より具体的であるほど顧客はあなたを知人に紹介しやすくなります。

リファーラルを受けとった際は、そのネットワーキングパートナーに進捗状況をこまめに報告しましょう(ただし、業界の守秘義務や法律を尊重することは忘れずに)。リファーラルに関するコミュニケーションを大切にし、リファーラルが成約に至った際には、ネットワーキングパートナーに感謝の気持ちを示すことが重要です。こうした姿勢が、パートナーからの信頼をさらに強固なものにし、将来的により多くの人を紹介してもらえるきっかけとなるでしょう

人とのつながりを築き、関係性を深めながらネットワーキングを進めることで、相手にはより多くのビジネスを、そしてあなたにとってはリファーラルを求める機会をより多く生み出せるようになります。ビジネスネットワーキングにおいては、与えれば与えるほど、受け取れるものはより大きくなります。

訳=川崎あゆみ

2025/04/21

ビジネスネットワーキンググループについて話すときに、よく聞かれる質問のひとつが、「チャプターの毎週のミーティングは本当に必要ですか?」というものです。毎週のミーティングに参加することは、大きなコミットメントですが、毎回のミーティングに参加することを負担に感じる人がいるのも理解できます。

私はこの疑問を検証するために、1986年に月2回のみ開催するBNIのチャプターを7つ立ち上げました。興味深い試みではありましたが、時間が経つにつれて明らかな傾向が見えてきました。これらのグループは、毎週ミーティングを行うグループと比べて、リファーラルの数が52%も減少していました。残念な結果ではありましたが、それほど驚きもしませんでした。

そこで、私は月に2回のミーティングを行っているグループをそれぞれ訪問し、こう尋ねました。「もし、たった1つの簡単な変更で、受け取るリファーラルの数を2倍にできるとしたら、試してみますか?」。するとみなさん、「もちろん!」と答えました。では、私が提案した変更とは何だったと思いますか?それは「毎週ミーティングを行うこと」でした。データを示すと、7つのうち6つのチャプターが毎週ミーティングを開催することを決断しました。では、唯一変更しなかったチャプターはどうなったでしょうか?1年以内に解散しました。こうして1987年には、すべてのBNIグループが毎週ミーティングを開催するようになりました。

私はこの話を何度も語ってきましたし、ギバーズゲインブック』にも書かれています。しかし、私がこれまであまり語ってこなかったのは、なぜ毎週のミーティングが、月2回のグループよりも2倍の成果を生み出したのかという理由です。あらためて考えてみたところ、毎週のミーティングがネットワーキングにおける成功において、決定的な違いを生む理由がいくつかありました。

1.間隔反復: 毎週ミーティングを行うことは間隔反復という一つの手法です。これは学習習慣を定着させ、継続的に関わることを促す手法で、科学的に証明されている手法です。たとえば、『Journal of Policy Insights from the Behavioral and Brain Sciences(行動・脳科学からの政策的洞察ジャーナル)』に掲載された2016年にダートマス大学で行われた研究では、間隔をあけながら反復することでよりよい成果が得られることが示されています。定期的に顔をあわせることで、スキルや人間関係を継続的に強化し、それがリファーラルの増加につながるのです。

2.「自然消滅」を防ぐ: 連絡を取り合わなくなると、関係は徐々に薄れていきます。それは、意図的に避けているわけではなく、単に時間が経ち、距離ができてしまうことで生じるものです。この現象を「自然消滅』と呼びますが、長期的な関係を築こうとする際には、大きな障害となる可能性があります。しかし、毎週ミーティングを行うことによって、この問題は確実に防ぐことができます。常に連絡を取り合い、人間関係を新鮮で活発なものに保つことができます。

3.習うより慣れろ: 何事も上達するには練習が不可欠です。同時に量をこなす必要があります。プロのアスリートが頂点に立ったからといって、トレーニングを止めることはありません。それは、ビジネスの世界でも同じです。毎週のミーティングは、ネットワーキングの技術の向上、学習、そしてきめ細かな修正を行うための貴重な機会となります。これは、ビジネスで成功するために必要なトレーニングなのです。

4.VCPプロセス®: Visibility(認知の段階)、 Credibility(信頼の段階)、Profitability(収益の段階)、―VCP®プロセスは、継続的なリファーラルを生み出すための人間関係構築の核となるものです。毎週のミーティングは、これらのプロセスを加速させる「パワー加速装置」のような役割を果たします。定期的にミーティングを重ねることで、認知と信頼を早い段階で築くことができ、最終的に利益につながります。

5.常に意識される存在になる: 毎週メンバーと顔を合わせることで、お互いの存在が常に頭に浮かぶようになります。ミーティングの日に彼らと会うたびに、プレゼンテーションリファーラルを通じて、どのようにすれば仲間の役に立てるのかを考えるようになります。また、毎週ミーティングを開催することで、リファーラルを新鮮なうちにすぐに渡すことができます。時間が経てば経つほど、そのリファーラルは冷めてしまい、ビジネスチャンスを逃すことになりかねません。

これらすべてが、ビジネスの拡大につながります。理由は、単純明快です。定期的にネットワーキングミーティングに参加することで、より多くのリファーラル(そしてより多くのビジネス)を生み出すことを、データが何度も証明しています。ミーティングに継続的に参加することとリファーラルを生み出すことは、明確かつ顕著な相関関係にあります。

私は長年、ビジネスで成功するためには、1000のことを6回づつ行うのではなく、6つのことを1000回繰り返すことが大切だと伝えてきました。毎週のミーティングでネットワーキングスキルを磨くことは、この原則の実践例そのものです。メンバーを知り合いに紹介し続け、ネットワーキングの技術を磨き続けることで、生涯にわたる信頼関係が築かれ、あなたのビジネスに必要なリファーラルを安定的に生み出すことにつながります。

BNIのエグゼクティブチェアマンであり、元CEOのグラハム・ワイミラー氏は、この点について見事に表現しています。「BNIはネットワーキングのCrossFit(高強度のトレーニングを通じて総合的なフィットネスを向上させるプログラム)だ」と言います。私も全く同感です!

チャプターの毎週のミーティングを「ネットワーキングのトレーニング」と捉え、継続すれば、成果につながるでしょう

注: このブログは、先にBNI.comに掲載された私の元記事を編集したものです。

訳=川崎あゆみ

2025/04/14

ビジネスネットワーキングにおいて、信頼はリファーラルを提供したり受け取ったりするうえで重要な要素です。大切なのは、何を知っているか、誰を知っているかではなく、お互いをどれだけ深く理解しているかです。現代のような移り変わりの速いデジタル時代においては、実際に人と直接会話をすることに、少しハードルの高さを感じることもあります(時には、どうやって会話すればいいのかさえ忘れてしまうこともあるかもしれません……)。他のネットワークの人々からの照会を期待する前に、自分が所属するネットワーク内で自分に関する情報を積極的に共有する必要があるということに多くの人が気づいていません。

そこで、ネットワーキングの基本の一つであり、そしてリファーラルパートナーになり得る人と信頼を築くための素晴らしい方法であるGAINSエクスチェンジについてあらためて振り返ってみたいと思います。ネットワークを通じて知り合った相手と1対1のミーティングを行う際、効果的かつ効率的に関係の土台を築くことが大切です。GAINSはそれを実現する最適な方法です。

GAINSは、Goals(目標)、Accomplishments(実績)、Interests(興味)、Networks(人脈)、Skills(スキル)の頭文字を取ったものです。GAINSを活用する際は、会話をスムーズにし、関係を築きやすくするために、ビジネスの話題だけでなく、プライベートな話題も含めることを推奨します。(仕事以外の共通の関心でつながることで、相手に親しみを感じてもらいやすくなり、単なる営業担当者ではなく、友人としてのつながりを築くことができるのです)。

GAINSの5つの要素

Goals(目標):
あなたにとって重要な目標は何ですか?取り組みたい課題は何ですか?経済的な目標、あるいはビジネスの目標はもちろん、さらに、個人的な目標や学びに関する目標も含めることができます。

Accomplishments(実績):
ビジネスや職場で、どのような重要なプロジェクトを達成しましたか?学生として、あるいは親として、どのようなことを達成しましたか?何か賞を受賞したり、公に表彰されたことはありますか?新しい言語を学んだり、自家製のパンを焼いた経験なども立派な実績です。

Interests(興味):
あなたが本当に好きなことは何ですか?好きな音楽や趣味、自分で楽しむスポーツや観戦するのが好きなスポーツは?どのような社会貢献活動をしていますか?人は、一般的に同じ興味を持つ相手と、より一緒に時間を過ごしたいと思うものです。

Networks(人脈):
私たち一人ひとり、そして私たちの知り合いも、さまざまなネットワークに属しています。専門分野の同業団体から、地域の市民グループ、近隣のコミュニティ、子どもの学校のPTAなど、私たちは多様なネットワークの一員です。

Skill(スキル):
あなたが特に優れていることは何ですか?あなたが強みを持つ専門分野や、特化している分野は何ですか?その分野に関する資格を持っていますか?チームとのコミュニケーションは得意ですか?こうした情報を共有し、自分が所属するネットワーク内の人たちの才能や能力についても理解を深めましょう。

GAINSを活用する

まず相手の目標を聞き、その後、自分の目標について話しましょう。実績や他の項目についても同じように共有しましょう。また、今後のためにメモを取り、相手の役に立てる方法についてのアイデアを書き留めておくのもよいでしょう。

ネットワークの仲間と初めてGAINSを活用するときは、少しぎこちなく感じるかもしれません。しかし回数を重ねるうちに、だんだんと自然にできるようになります。まずは、親しい相手と試してみるのが良いでしょう。相手の新たな一面に驚くことがあるかもしれません!自分自身のことについて記入するときは、時間をかけてじっくり考えてみてください。もしかしたら自分自身について、思いがけない気づきがあるかもしれません。

GAINSの交換には、ネットワークの仲間があなたにリファーラルを提供する前に知っておくべき、5つの重要な要素が含まれています。同様に、あなたも仲間の5つの項目について理解することで、お互いにリファーラルパートナーとしての関係を築くことができます。ネットワークの仲間と目的を持った会話をし、情報を共有することは、信頼関係を築くための素晴らしい方法です。

あなたはGAINSの交換を活用したことがありますか?それはビジネスネットワーキングにどのように役立ちましたか?

訳=川崎あゆみ

2025/04/07

AIについて、そして職場での創造的な活動にAIを活用することについて、近頃友人のキアン・ゴハーと話しをしました。キアンは、私たちが職場で遭遇する様々な問題に対してよりよい解決方法を見つけるのにAIを役立てる方法についても語ってくれました。

彼はまず、AIは単なるサーチエンジンではないということ、そして挑戦的な課題を解決するためにAIに創造性を発揮させる方法から話し始めました。彼は世界中の企業で実際の課題に直面する実際のチームとともに行った実験について語ってくれました。この実験では、チームの半分にAIへのアクセス権が与えられ、残りの半分にはAIへのアクセス権が与えられませんでした。驚くべきことに、AIを使用したチームでも創造性の向上はごくわずかでした。キアンと彼の同僚達が調査したところ、私たち人間は最初に得た納得できる答えにこだわってしまう、ということを発見しました。しかし、最初に得た答えが必ずしも最適とは限りません。

実験の際、AIの利用に関して他のチームとは全く違い、本当に独創的なチームがあったことも発見されました。ここで発見されたのは、創造的なチームは、ワークフローとAIとの接し方を変えていました。

会話をする

AIと独創的なな関係をもったチームは、私たちが普段サーチエンジンに対して行っているような質問をAIに対して投げかけるのではなく、AIと双方向型のの会話を行い、彼らが抱えている問題に対してより深く創造的なな解決策を得られるようにAIを導いていたのです。

キアンが気づいたのは、問題解決のためにAIを創造的に利用したいのであれば、AIを思考のパートナーとして活用することを学ばなければならない、ということでした。つまり、私たちが過去20数年のインターネット時代にしていたのとは違い、AIを会話のパートナーとして使うことを学ばなければならないということです。

私たちはラップトップやデスクトップコンピューターの前に座って、サーチエンジンが最適な返答をしてくれるように、完璧な質問を入力することに慣れてしまっています。

多くのAIユーザーインターフェースは、私たちが使い慣れた検索エンジンとよく似ています。そのため、AIを使い始め「サーチボックス」的なものを見た時、正しい答えを得られるような適切なプロンプトを打ち込もうと考えてしまうのです。キアンは、このようにアプリへタイピングするような感じではなく、AIと会話を交わすように向き合うことを勧めています。つまり、いつものように人と話すようにAIと会話することです。AIは自然な会話を非常に高い精度で理解します。AIとの対話を始めることで、私たちはAIからとてもたくさんの洞察やアイデアを得ることができます。

(会話の)背景となる情報を与える

AIと会話をする際に最も重要なレッスンのひとつは、私たちがAIを使って解決しようとしているジレンマが何であれ、AIに対しては状況や背景を提供することが必要だということです。もしどんな背景情報を提供したらよいのか分からない場合、AIとの対話方法を根底から変えてみるとよい、とキアンは勧めています。

AIから正確な答えを得るためにはどのような背景情報が必要なのかをAIに聞いてみてください。例えば、あなたは次のように問いかけるかもしれません。「AI、私に答える前にこの状況や話題について5つ質問して。」 こんな問いかけが、あなたへの質問やインタビューの機会をAIに与えることになるのです。そして会話を始めるのに必要な背景情報が十分に得られていきます。そして、そこから会話のやりとりが始まり、AIに意見を求めたり、問い直したりすることができるようになります。また、会話の方向性を変えるようAIに頼んだり、自分の仮説をAIに評価してもらうことも可能です。このような会話、まるで人間との会話のように、AIと連携することで最適な回答を得ることにつながります。

AIの基本によく慣れることが大切です。キアンはこれをAIのABCと呼んでいます。新しい言葉を学ぶとき、まずはその言語のアルファベットを習いますよね。今私たちはAIという道具を手に入れました。私たちはAIの基本、つまりABCを習う必要があるのです。これを習うことによって私たちは、AIを使うために技術の専門家である必要はありません。そしてAIとの関わり方をシンプルにすることができます。なぜならAIのABCとは、AIの基本を理解することを指し、人間とAIが未来においてどのように付き合っていくかということだからです。

訳=丹野裕道(株式会社ディアス)