2025/12/15

ビジネスの世界において、リファーラルの力は、言葉では言い尽くせないほど大きなものです。クライアントや顧客、リファーラル提供者と接する際に、与えることから始めるというリファーラル・マインドセットを持つことは、自分が受け取るものを探し求める姿勢ではなく、積極的に与える姿勢が求められます。人の役に立ち、戦略的にリファーラルを提供し、自らが与える人であることを示すことで、相手に期待する行動を、自ら模範として示すことになります。とはいえ、単に相手に与えるだけでは、相手があなたにビジネスを紹介してくれるとは限りません。相手が紹介が生まれるネットワーキングを理解し、その仕組みに参加できるように育てていくことが不可欠です。

リファーラル・マインドセットを理解する

人脈とは言えないまでも、接点のある人たちは、真のリファーラルネットワーキングには何が必要なのか、また、質の高いリファーラルを生み出すためには細やかな配慮が必要であることを十分に理解していないかもしれません。そのため、多くの場合、プロセスを通して彼らをコーチングをする、、あなたが何をしているのか、なぜそれが重要なのか、そしてあなたの取り組みから何を期待できるのかを説明しながら、相手を育てていく必要があります。

例えば、友人が個人情報の盗難に遭ったことを知ったとしましょう。あなたはこう伝えるかもしれません。「サラ、個人情報が盗まれた件について、同僚に相談しました。その人は、信用情報を早く回復させるために役立つ情報や相談先を持っています。また、この分野を専門とする弁護士も知っています。ご紹介しましょうか?進捗がわかったら教えてくださいね。他に何かお手伝いできることがあれば、遠慮なく言ってください」。

このアプローチはすぐに役立つ支援ができるのと同時に、お互いに支え合う関係づくりの土台にもなります。積極的にサポートすることによって、将来のリファーラルにつながる礎が築かれるのです。

リファーラルパートナーとの明確なコミュニケーション

リファーラルを提供する際は、相手にしっかりと伝えることが大切です。あなたの大切な人脈へつなぐ価値をしっかりと理解してもらいましょう。例えば、次のように話してみてはどうでしょう。「ジム、あなたが求めているサービスを提供する専門家を知っています。15年以上一緒に仕事をしている人で、その専門性や信頼性も確かです。彼から連絡を差し上げるように手配しましょうか?それと、鉄骨建築を手掛けていて、私が取り扱う新型ファスナー(鉄骨を固定する新製品)に関心がありそうな建設業者をご存知でしたら、ぜひご紹介いただければ嬉しいです」。

自分の行動と意図を明確にすることは、どのような貢献をしてもらうことを期待しているのか、また、相手に自分への貢献を考えるきっかけとするために、まずは自らが貢献の模範を示すことです。同時にリファーラルパートナーに、自分はどのように貢献できるかを考えるきっかけにもなります。これはリファーラルを学ぶプロセスにおいて極めて重要なステップです。あなたは、相手がリファーラルを自然に提供できる習慣を育てるように導いているのです。

オープンな対話の重要性

ビジネスで成功するリファーラルネットワークを構築するには、率直なコミュニケーションが欠かせません。リファーラル活動(紹介を生み出すための取り組み)について率直に話すことは、自ら手本を示すだけではなく、相手が、自分はどんなネットワークを持っているか、また、どのように貢献できるかを考えるきっかけにもなります。こうしたやり取りは、相互に与えあう文化を育む上で非常に重要です。

もちろんすべてのリファーラルが必ず見返りにつながるわけではありません。しかし、その可能性を大幅に高めることはできます。最初は、あなたからの手助けに対する感謝から紹介を返してくれるかもしれません。やがて、リファーラルによる関係構築を通して、お互いに利益をもたらすことを理解し、価値のあるビジネス戦略として捉えるようになります。

持続可能なリファーラルネットワークの構築

持続可能なリファーラルネットワークを構築するには、つながりがある人たちと継続して関わり続ける必要があります。そのためにも、定期的に連絡を取り合い、紹介後の進捗報告を行い、受け取った紹介に対して感謝の意を示しましょう。簡単な感謝の言葉や短いメッセージでも、信頼関係の維持に大きな効果があります。

また、リファーラルを提供してくれる人を、毎週のネットワーキングミーティングや所属するコミュニティグループ、自分も参加するビジネス交流イベントに招待してみましょう。これによりすでに築いてきている関係が深まるだけでなく、新たな人脈が生まれ、あなたのネットワークがさらに広がっていきます。

リファーラル提供者を育てていくことは、忍耐や明確な意図、そして率直なコミュニケーションを必要とする継続的なプロセスです。自らが模範を示し、リファーラルのプロセスについて理解してもらい、相互に与えあう文化を育てていくことで、関わる全ての人に価値をもたらす強固なネットワークが構築されていきます。

目標は単にリファーラルを受け取ることではありません。皆が互いの成功を支え合い、成長しあう活気に溢れたコミュニティをつくることです。力を合わせれば、驚くべき成果を達成できます!


この記事は、Dr.アイヴァン・マイズナーによる「How to Train Referral Sources to Generate Referrals for You」を翻訳したものです。
原文:https://ivanmisner.com/how-to-train-referral-sources-to-generate-referrals-for-you/
翻訳:川崎あゆみ

2025/12/08

全ての偉大なる教師は、人生には意図と目的を持つことが大切だと説いています。ベンジャミン・ディズレーリは「成功の秘訣は目的の不変性である」という言葉を残しました。ビジネスネットワーキングに臨む前に、あなたがあなたの目的を理解しているかどうかを確認しましょう。もしあなたの根底にある目的が、あるグループを利用しようという意図であれば、あなたが発する言葉も非言語的なコミュニケーションも、そのグループに与えるつもりである場合とは違うものになるでしょう。もちろんあなたは、最終的にはリターンを求めています。しかし、優れたネットワーカーは、まず他者に貢献することを最優先に考えます。

私たちは、人生における多くの時間を、様々な意図が絶えず入り混じっている状態で過ごしています。私たちは他者に対して良い事をしてあげたいと望む一方、多くの異なる形で個人的な恩恵を求めてしまうものです。ネットワーキングイベントに参加する時、私たちの注意は、いろいろな状況下で、自分にとって有利なチャンスを探しながら無意識のうちにあちこちに注意が向いていきます。あなたの意図が他者を益することにしっかり定められるよう、イベントへ出かける前にあなたの目的を明確に記載した簡潔に書き出したミッションステートメントを用意すると役立ちます。あなたの最優先事項にフォーカスすることで、あなたは他の多くの衝動を脇に置くことができるでしょう。

あなたの注意と意図を集中させることで、「他者が問題を解決し必要を満たすための手助けになりたい」というあなたの意思を、あなたの思いを、はっきりと伝えることができるでしょう。より自信がつき、他者のメッセージに対してオープンになります。相手はそれを自然に感じ取り、あなたに惹かれていくでしょう。あなたのメッセージは、ネットワーキングパートナーとの信頼と調和を促し、相互に恩恵のある関係を築き、強めることができることでしょう。

ネットワーカーにとって、全ての中で最も誠実なネットワーキングのメッセージとは、次のようなものです。「私はあなたの友達になりたい、そしてあなたに私の友達になってほしいのです。そうすることで私もあなたも恩恵を得られると思います。私はあなたを助けることからこの友情を始めたいのです。」 こんな風に他者と積極的に正直なコミュニケーションをすることで、自然と価値ある、長く続く関係が築かれていくでしょう。

あなたの本当のネットワーキングの意図や目的を効果的に伝えるための方法を見つけられたでしょうか?


この記事は、Dr.アイヴァン・マイズナーによる「What Is Your Purpose? What Is Your Intent?」を翻訳したものです。
原文:https://ivanmisner.com/what-is-your-purpose-what-is-your-intent/
翻訳:丹野裕道(株式会社ディアス)

2025/12/01

1960年代、アメリカ人心理学者のフレドリック・ハーズバーグは、何が人々を動機づけるのかを研究しましたが、彼は正しい答えを導き出したと思います。彼が提唱したのは「動機づけ要因(満足に関わる要因)」と「衛生要因(不満足に関わる要因)」の存在です。お金のようなものは実際には衛生要因なのですが、1970年代にこれを読んだ時は「お金って衛生要因なんだ」と、私にとってそれは当時、衝撃的な気づきでした。お金が足りなければ不満を感じますが、お金をすごくたくさん稼いだからといって長く幸せではいられないのです。お金をたくさん貰うと、最初の30日間は舞い上がるほど嬉しくなるかもしれませんが、次第に「これくらいは当然の報酬だ」と思うようになります。ですからお金は衛生要因なわけです。短期的には幸せになるかもしれませんが、長期的な幸せを得ることはできません。

動機付け要因としては機会、承認、発展などがあります。これらはあなたが現在行っていること、あなたが熱意を注いで取り組んでいることです。

学校の先生方はたくさんのお金を稼いでいませんが、「世の中に貢献できている」という実感があるからです。先生方は仕事を愛しているからその仕事に留まるのです。一方、たくさんのお金を稼ぐ企業幹部でも、自分の人生が虚しいと感じていれば「もうこんな仕事はできない」と仕事を去ってしまうのです。

ここに挙げた「機会」「承認」「成長」「社会への貢献」という4つの満足要因は幸福や成功と大いに関係しています。これらの動機付け要因が今のあなたにあるかどうかを確認することで、ビジネスや人生においてあなたが向かっている方向について再検討できるかもしれません。

あなたが成功したいのであれば、自分の情熱に従い、あなたの熱意の中にある新しく革新的なものを探し求めていくべきです。私はそう信じています。覚えていてください。あなたが成功を定義しようとする場合、それはお金とは全然関係ないのかもしれません。成功を測る上で、「幸せ」は欠かせない要素です。

あなたの人生における最も大切な「動機付け要因」と「衛生要因」は何でしょう? どの道を行くのか、どの目的に力を尽くすのか、あなたの選択においてこれらの要因はどのように影響してきたでしょうか?


この記事は、Dr.アイヴァン・マイズナーによる「Motivation: Satisfiers and Dissatisfiers」を翻訳したものです。
原文:https://ivanmisner.com/motivation-satisfiers-and-dissatisfiers/
翻訳:丹野裕道(株式会社ディアス)