2026/08/31

みなさんは、6人を介せば世界中のどんな人ともつながることができると聞いたことがありますか。これは、「六次の隔たり」として長年知られてきた考え方です。少人数の知り合いをたどっていけば、誰とでもつながっているという考えです。しかし、この広く受け入れられている考え方が、実は、神話にすぎないとしたら、どうでしょうか。

私は、この考え方の起源について詳しく調べ、その真実について、拙著『The 29% Solution』で明らかにしました。

実験

この考え方は、1960年代に社会心理学者・スタンレー・ミルグラムが行った研究結果に由来しています。ミルグラムの実験では、米国の中西部に住む人物からマサチューセッツ州ボストンに住む株式仲買人へ、封筒を知人づてに届けるという課題に、数百名が参加したものでした。目的の人物まで封筒が届けられた場合、平均して約6人の手を介して届けられていることを発見しました。しかし、ここで見落としてはならない事実があります。参加者のうち、実際に届けることができたのは29%だけでした。 つまり、71%の人は、目的とした人物にたどり着くことはできなかったのです。

神話

ここで、六次の隔たりの神話は、成り立たなくなります。メディアは「六次の隔たり」という考え方だけを取り上げてが、しかし実際には、参加者の3分の1以下の人しか成功しなかったという事実を見過ごしてしまったのです。実際には、誰もが六次のつながりで結ばれているわけではありません。多くの人はそうではありません。では、本当につながることができた29%の中の一人になるためには、どうしたらよいのでしょうか。

マスターコネクターになる

その鍵となるのが、マスターコネクターになることです。マスターコネクターとは、人と人の間をつなぎ、自分の身近な人間関係を超えてネットワークを広げていける人のことです。ミルグラムの研究では、目的地まで届けられた24個の小包のうち、16個は、同じ一人の人物を経由していました。その人は、衣料品店の経営者でした。このことが示しているのは、すべての人脈が同じ価値を持つわけではないということです。人と人をつなぐことに優れた能力を持つ人がいます。その人たちが、今日のビジネスネットワークで私たちが目にする「マスターコネクター」です。

マスターコネクターは、強いネットワークを築くためには、どれだけの人とつながっているかではなく、つながりの質が大切だということを理解しています。マスターコネクターになることで、自らを強力なリファーラルネットワークの中心に位置づけることになります。

より優秀なマスターコネクターになる

では、そのような特別な存在になるためには、どうすればよいでしょうか。あなたのビジネスの旅路において、役に立ついくつかの戦略を紹介しましょう。

1.意図を持って行動する:ネットワーキングを目的としたミーティングにビジターを招待するときは、あなたは、単に参加者を一人増やしているのではなく、人と人とをつなげています。誰を招待するのか、その人を誰に紹介するのかを意識して招待しましょう。その人が、ネットワークにもたらす潜在的な価値や、どのような恩恵を受けられるのかを考えることが大切です。

2.他のマスターコネクターを見極める:あなたのネットワークの中には、生まれながらのマスターコネクターと呼べる人がいます。ビジターを継続的に招待し、新しいメンバーのスポンサーにもなっている人たちです。是非、その人たちのやり方から学び、どのようにしたら、同じような成果を出せるかを考えてみましょう。

3.関係構築に重点を置く:マスターコネクターであることは、単に紹介をするだけではありません。継続的な関係を構築することでもあるのです。ネットワークの仲間をよく知るために時間を投資し、その人が何を必要とし、どのような目標を持っているのかを理解しましょう。これによって、お互いに価値をもたらす、意味のある関係を築けるようになります。

マスターコネクターがもたらす影響力

マスターコネクターになるということは、波及効果のような影響力を持つということです。人と人をうまくつなげるのに成功すれば、単にその人たちを助けたということだけにとどまりません。あなた自身のネットワークも強化されます。人をつなげればつなげるほど、自分自身にも、そして周囲の人たちにも新たな機会は増えていくのです。

マスターコネクターは、ネットワークに長く在籍する傾向があり、豊富な経験と幅広い人脈をグループにもたらします。BNIのデータによると、新しいメンバーのスポンサーになった人は、その後何年にもわたって、積極的にBNI活動(ビジネスネットワーキング活動)に関わる傾向が高いことがわかっています。これは、納得感があります。友人をグループに招き入れることで、そのネットワークへの思い入れが強くなり、より長くコミットメントするようになるからです。

六次の隔たりという神話は、多くの人の想像力をかき立ててきました。本当のつながりは、単なる人数の問題ではありません。大切なのは、意図を持って行動し、関係を築き、マスターコネクターになることです。こうした原則を重点的に実践することで、真につながることのできる29%の仲間入りを果たし、ビジネスネットワークにおける活動が成果につながっていくでしょう。

:この記事は、Dr.マイズナーが以前BNI.comに寄稿したブログ記事をもとに再構成したものです。 


この記事は、Dr.アイヴァン・マイズナーによる「The Truth about Six Degrees of Separation – Becoming a Master Connector」を翻訳したものです。
原文:https://ivanmisner.com/the-truth-about-six-degrees-of-separation-becoming-a-master-connector/
翻訳:川崎あゆみ

2026/08/24

誰かがオリンピック競技でもするように愚痴を言うのを聞いたことはありませんか?彼らは愚痴をぶつけるために自己を修練し、戦略を立て、持論を展開するための特殊な道具すら用意するのです。言わせてくださいね。愚痴はオリンピックイベントではありません!そろそろ私達は何かもっと生産的なことのためにトレーニングを積むべきです。そう思いませんか。

愚痴が本当にオリンピックイベントだったら、と想像してみてください。世界中から集まったチームがそれぞれ独自のスタイルで愚痴をぶつけます。アメリカ人はドラマチックなため息のマスター、イギリス人は乾いた皮肉の優等生。フランス人はもちろん食べ物に不満を漏らすエキスパート。ドイツ人は効率的なクレーマー、記録的短時間で苦情を吐き出します。

開会式はまさに見ものです。アスリートが自国の旗を掲げて行進する代わりに、クレーマーの集団が愚痴を表現するための道具を持って意気揚々と歩くのです。審判は最もクリエイティブな愚痴、最も雄弁な不平、最もしつこい泣き言を探します。

実際のイベントはどんな感じになるでしょうか? 息継ぎもせずにどれだけ長く大きな声で愚痴を言えるかを競うレースがあるかもしれません。誰が最も些細なことに対する愚痴を言えるかを争う競技もあるかもしれません。(「玉ねぎ抜きで頼んだのに、バンズに小さな玉ねぎがひとかけら付いてる!」なんてね)

でもやはり最も興味深いイベントは団体戦でしょうか。各チームには、「もしあなたが自動車登録窓口の長い列で待っているとしたら」というような状況が与えられます。あなたはその中で他を上回る、最も独創的な愚痴を考え出さなければなりません。審判はチームワーク、粘り強さ、その場で愚痴を即興で思いつく力などを見て加点します。

でも現実には、愚痴は時間やエネルギーの生産的な使い方ではありません。愚痴は、私達自身のムードや周りの人々の気分を落ち込ませるネガティブな習慣です。問題に対して愚痴をぶつけるよりも、その問題の解決法にフォーカスする方がずっと有益です。

何かもっと生産的な習慣を得られるようトレーニングを始めましょう。自動車検査登録事務所の長い列に並んだのなら、愚痴を言うのではなく本を読んだりゲームをしたりする方がいいでしょう。天気について不満を言うかわりに、屋内でできる楽しい事を考えたり、カラフルな傘をさして雨を楽しんだりしましょう。

結局のところ愚痴はオリンピックイベントではありません。壊し難い習慣なのです。私達が直面する問題について愚痴を言うのではなく、もっとポジティブであろうと努め、解決策に目を向けましょう。もしかすると、未来のオリンピックには「ポジティブな問題解決」なんて競技ができているかもしれませんね。


この記事は、Dr.アイヴァン・マイズナーによる「Complaining is Not an Olympic Event!」を翻訳したものです。
原文:https://ivanmisner.com/complaining-is-not-an-olympic-event/
翻訳:丹野裕道(株式会社ディアス)

2026/08/17

自分のターゲットマーケットだけに特化したネットワーキンググループに所属していると、自分と似た人たちの集まりになりがちです。それは、よいことでしょうか?いえ、必ずしもそうではありません。似たような人たちが集まるグループは、いつも行動を共にし、人脈も重なりがちです。それでは、ネットワークも広がらず、多様性も限られます。もちろん、似たような人たちがグループ内にいることはよいことですが、同時に自分とは異なるタイプの人とつながることも重要です。まったく異なる業界や社会的なグループ、市場にいる人が、あなたのビジネスパートナーになりうる人を知っているわけがないと思い込むのは、大きな間違いです。相手が誰を知っているか、あなたにはわからないのです。

そのグループ内に、同じ顧客をターゲットとするメンバーが多くいたとしても、名簿だけでは、その人がリファーラルをもたらしてくれるかはわかりません。その人が誰を知っていて、どれほど質の高いリファーラルを紹介してくれそうかを知るには、しばらくそのグループで共に時間を過ごす必要があります。こうした情報は、チャプターミーティングの前後のオープンネットワーキングで、たとえば次のような会話を通じてわかってきます。「あなたの理想のクライアントについて教えてください」「どんな人と仕事をするのが好きですか、またそれはなぜですか?」「どんな仕事が一番好きですか?」成果につながるような関係を育むには、数週間、ときには数ヶ月かかります。それまでは、相手が誰を知っているか、あなたにはわからないのです。

似た者同士は、人脈も似てくる

社交を中心に形成されたグループは、同質的になりがちです。人が年齢、学歴、収入、職業、人種、居住地域、宗教、社会的地位などによって集まるのは、ごく自然な人間の習性です。自分と似た人たちと過ごすのは、会話がはずみ、似たような経験を持ち、情報や意見を交わしやすいものです。しかし、それでは新しい経験や新しいものの見方に触れる機会はほとんどなく、ビジネスやマーケティングに新たな道を開く機会もほぼ得ることはできません。

ビジネスネットワークを作りたいと考えている人に多く出会ってきましたが、「このマーケットを狙うには、自分と同じような人を周りに集めなければ」と思い込んでいます。その結果、では、どんな人が集まるでしょうか。自分とよく似た人たちです。自分のビジネスと非常に近い業種の人たちも含まれ、彼らは自分たちの持つ情報を共有したがらないこともあります。また、同じような人脈を持つ人たち、ときには、全く同じ人脈を共有しているメンバーもいます。リファーラルを生み出すことを目的としているのに、これほど似通った人たちでネットワーキンググループを作っても、たいていは効果が出ません。

ネットワークは、付き合いの深さこそ違っても、お互いに似た者同士の集まりの中で自然に形成される傾向があります。あなたの友人同士も、お互いに友人であることが多いものです。しかし、強力なネットワークを望むのであれば、明らかに異なる人脈、異なる種類のつながりが必要です。

鍵は多様性

リファーラルグループにおいて、多様性は非常に重要です。人種、性別、宗教、民族といった、いわゆる世間で言われる多様性だけでなく、業種の多様性も欠かせません。塗装業者を営む方が、ミーティングにオーバーオール姿で参加するという理由だけで、リファーラルネットワークへの参加を敬遠する人に会ったことがあります。しかし実際のところ、塗装業者をはじめとする建設・工事関係者の方々は、素晴らしい人脈を持っていることが多いのです。彼らは、誰の家を塗装し、どのような現場で仕事をしているのか、どんなつながりを築いているのか。そう、相手が誰を知っているか、あなたにはわからないのです。

多様に富む個人的な人脈を持つことで、ネットワークの中にコネクター、あるいはリンチピン(要の人)とつながれるようになります。リンチピンとは、複数のグループの垣根をこえて活動している存在です。他のグループの人たちとも共通する趣味や人脈を持ち、自分のグループと別のグループをいとも簡単に、そして自然につなぎ、その結果、グループを超えて人と人をスピーディにつなげてしまうのです。最も強いビジネスネットワーキンググループとは、あらゆる意味で多様なグループです。そういったグループほど、リンチピンとなる人材を多く抱えています。優れたネットワーカーは、できる限り多くのネットワーク間のリンチピンになることを目指します。

私は、異なる興味や背景を持つ人たちを含む、多様なプロフェッショナルのネットワークを築くことが大切だと信じています。その人たちがあなたやネットワーク内の他のメンバーと共通して持っておくべき唯一の条件は、それぞれの仕事において本当に優れているということだけです。相手のことをよく知るまでは、その人が誰を知っているかはわからない。そのことを忘れないでください。


この記事は、Dr.アイヴァン・マイズナーによる「You Don’t Know Who They Know」を翻訳したものです。
原文:https://ivanmisner.com/you-dont-know-who-they-know-2/
翻訳:川崎あゆみ

2026/08/10

多くの人が、“売り込まれる”ことを好みません。そして多くのビジネスパーソンもまた、自分たちの商品やサービスを「売り込まなければ」というプレッシャーを苦痛に感じています。素晴らしい商品、優れたアイデア、質の高いサービスを持っていながら、それをクライアントや顧客となってくれる見込みにある人々にうまく伝えられずにいる、そんな人は少なくありません。私の友人でコンシャス・コミュニケーション・コーチ&スピーカーのスコット・デムーリンは、こう言っています。売り込むのではなく納得してもらうのだと。なぜなら、私たちが目指しているのはは、自分たちのサービスや商品についてのスペック、特徴、メリットを売り込むことではないからです。私たちが目指しているのは、自分たちのサービスや商品が相手のニーズや望みに対する解決策として、自ら納得し受け入れてもらうことだからです。

関係構築ができていない段階で売り込もうとする、時期尚早なアプローチに、多くの人は陥りがちです。忘れてはいけないのは、関係構築の土台は、信頼であるということです。『The Speed of Trust(スピード・オブ・トラスト)』の著者、スティーブン・M.R.コヴィーは、信頼があれば、ビジネスはより早く進み、コストも劇的に削減されると述べています。逆もまた然りで、信用がなければ、広告やマーケティングにかかるコストは膨らみ、ビジネスは失速する、と。信頼は、セールスの必要不可欠な要素であり、その力を何倍にもさせる要素でもあります。

準備をすることで恐れを乗り越える

イベントのステージに立って話すとき、ビジネスネットワーキングの場で仲間を前に話すとき、あるいは、見込み客に対して話す場合でも、どんなときでも準備が必要です。準備をすることで、不安や緊張、恐れを和らげてくれます。これからしようとしていることへの準備、そしてこれからの会話の中で起こり得るさまざまな展開にも備えておくことができれば、恐れという感情的な反応に囚われる必要がなくなります。

スコットによると、ステージに上がる前にアドレナリンが出て、闘争・逃走反応によるエネルギーを覚えるのはごく自然なことだと言います。問題は、そのエネルギーをどう解釈するかです。恐れだと解釈する人は、身動きできなくなってしまいますし、興奮だと解釈すれば、準備はできている、さあ行こうと思えます。質の高いスピーチの構造と組み立てを理解し、話の流れをを見失わないためのマインドマップを手にしていれば、恐れに打ち勝つのは簡単です。恐れの意味を変えることで、結果を変えることができるのです。

One to Manyアプローチ

ビジネスネットワーキングで成功するためには、自分のネットワーキンググループのメンバー、つまりリファーラルパートナーのことをよく知る必要があります。定期的に行われるグループミーティングや、個別の1to1ミーティングを通して、関係性を築いていきます。毎週のミーティングでは、自分の仕事を理解してもらえるようメンバーを教育することが大切です。ミーティングへの参加は、売り込むためではありません。参加の目的は、ミーティング以外の場で、自分のビジネスへの潜在的なリファーラルをどのように見つけるか、その方法を仲間に伝えることです。

私がおすすめするのは、自分のサービスや商品がお客様にもたらした変化をストーリーとして語ることです。アンディ・バウンズは、これを「The Afters」と呼んでいます。あなたのサービスを受けた、お客様の人生や状況はどのように変わりましたか?あなたとビジネスをした、お客様は、どんな気持ちになりましたか?

あなたは、ある時点で、ビジネスの機会を広げたいと思うかもしれません。そんなときは、Lunch&Learn(昼食を取りながら学ぶ勉強会)やポッドキャストを通じて、One-to-Manyのコミュニケーションを取り入れてみましょう。一度に大勢の人に出会える素晴らしい機会です。売り込むのではなく教育する、自分のビジネスについて語るのではなく、相手から話を引き出せるような質問を投げかける、それによって、さらに商品やサービスへの共感と納得も深まります。複数の見込み客に同時に話すことで自分の時間と労力を最大限に活用する。これがひたすらに働くのではなく、賢く働くということです。

陥りがちな間違い

お客様に納得してもらおうとする際、プロフェッショナルが陥りがちな大きな間違いは、スペックや特長を売り込もうとしてしまうことです。人が買う理由は、そこにはありません。あなたのビジネスの業界のトレンド、最新情報を共有し、相手のニーズ、望むものを理解することによって、購入の意思があるかどうかを聞けるだけの信頼関係が築かれていきます。語らない、そして売り込まない。あなたが売りたい理由を述べるのではなく、相手が買いたい理由を尋ねましょう。

リファーラルとは、売り込みの対極にあるもので、納得を得ることです。セールスパーソンではなく、専門家として認識されるようにしましょう。


この記事は、Dr.アイヴァン・マイズナーによる「Enrolled, Not Sold」を翻訳したものです。
原文:https://ivanmisner.com/enrolled-not-sold/
翻訳:川崎あゆみ

2026/08/03

皆さんの中には私がニューエイジの人間でないことを知っている方もいらっしゃると思います。私はニューエイジタイプの人間ではありません。世界77か国に308,000人のメンバーを持つBNIを始めた創立者であり著者として、「互恵の輪の法則」の大きな力を信じているタイプの人間です。このコンセプトは「あなたに良いことをしてくれた誰かに何か良いことをしてあげたい」という人の心に深く根差した心理的な欲求に働きかける考え方です。

ソフトスキルには確かな価値があります。ソフトスキルの価値を理解していても何故それが機能するかについて証拠を求める人もいるでしょう。「互恵の輪の法則」を裏付ける根拠はたくさんあります。例えばナッシュ均衡理論(Nash Equilibrium Theory)がそれです。(略称が偶然にも「NET」になるのは興味深いことです…)

ナッシュ均衡理論

ナッシュ均衡理論が唱えているのは、基本的に、グループの全員が自分達とグループにとって最適なことをしている場合に最適な結果がもたらされるということです。これは互恵性の一つの形です。理想的な結果は、参加している個人が他の参加者の意見を聞いた後で自ら選んだ戦略を変更する動機がない状態において生み出されるという理論です。

相互的利他主義

相互的利他主義は互恵性のもう一つの形態で、集合的利他主義と個人的ニーズとの間にバランスの取れた関係を含むものです。集合的利他主義はグループのニーズにフォーカスしたもので、個人のニーズは深く考慮していません。相互的利他主義はグループのニーズと個人のニーズの両方を考慮しようとしたものです。

かつてソクラテスやアレクシ・ド・トクヴィルは倫理や政府に関する本を書きましたが、啓発された自己利益の概念は全て相互性に関連付けられています。啓発された自己利益とは、人々は他者や自分が属するグループの利益のためによく動くことにより究極的に自身の個人的興味を満足させることができるとする哲学です。

つまり、人に良いことをするれば、自分も成功できるということです。

ギバーズゲイン

私はBNIが発足した当時からギバーズゲインという用語を使ってきました。この用語の基礎となるのは「因果応報」という昔からある考え方だと思われています。しかし、本当はそれよりももっと複雑なものなのです。

ビジネスネットワーキングは関係構築に関するものです。私は、「誰かと早く信頼関係を築く最善の方法は、まず彼らを助けることだ」ということを発見しました。もしあなたが誰かを助けられる場合(これはあなたの商品やサービスを売ることではありません)、その誰かのニーズを本当に満たす紹介や情報などを与えることで、彼らと信頼に基づくビジネス上の関係を築き始めることができます。

関係構築は信頼の構築を助け、信頼は効果的なネットワーキングの礎となります。あなたがギバーズゲインを頻繁かつ十分に実践すれば、あなたは他者を助けることによって築いた信頼を前提とするパワフルな個人的ネットワークを築き始めるでしょう、

この概念は(用語はギバーズゲインでも互恵の輪の法則でも構いません)、個人とコミュニティを結びつける架け橋となるものです。それは個人的かつ職業的な成長の燃料となり、リファーラルもビジネスも増加していくことでしょう。

協力の恩恵

研究によると、社会的な協力は脳に良い影響を与えることが分かっています。協力は脳の中でドーパミンの分泌を促進するそうです。面白いことに、社会的協力を欠くとドーパミンの分泌は減るそうです。上に挙げた戦略は全て協力と協業関するもので、いずれもドーパミンの生成を増やすのです。

かつてインドのBNIメンバーであるAmruthさんからEメールをもらったことがあります。内容はこの哲学の素晴らしい例え話でした。あなたが2つのスプーンを持っているところを想像してみてください。一つは小さなスプーン、もう一つは大きな給仕用スプーンです。私達はどちらを頻繁に使いますか?小さなスプーンでは自分しか満たせません、しかし大きなスプーンは他の人へも与えることができます。私達がみんなが大きなスプーンを使うほど、自分の小さなスプーンも満たされるのです。皆のために大きなスプーンを使うビジネスネットワークグループは、皆に大きな成功をもたらします。友人であるボブ・バーグ(Bob Burg)と共著した「ザ・ゴー・ギバー(The Go Giver)」の中に「あなたの収入は、何人の人にどれだけ価値を提供したかによって決まる」という一説があります。

ナッシュ均衡、相互的利他主義、啓発された自己利益、ギバーズゲイン、呼び方はいろいろありますが、他者に与え他者を助けることで、あなたは素晴らしい気持ちになります。それだけでなく、あなたが与えた何倍も返ってきます。

相互性とは「涎掛けを外してエプロンを着ける」ことだと私は信じています。このようなネットワーキングでは、個人として参加した人々が、やがてコミュニティを築いていくのです。

ソフトスキルが強いネットワークを作るとはそういうことです。


この記事は、Dr.アイヴァン・マイズナーによる「Soft Skills Make Strong Networks」を翻訳したものです。
原文:https://ivanmisner.com/soft-skills-make-strong-networks/
翻訳:丹野裕道(株式会社ディアス)