サブスクリプション収益の重要性

2022/05/27

ロバート・スクロブ氏とは数年来の付き合いで、彼は『The Connector Effect:The Proven Way to Grow Your Business Right Now(今すぐビジネスを成長させる実証済みの方法)』という本の共著者の一人です。

ロバートは、サブスクリプションビジネスの収益拡大に関する第一人者で、私は彼と中小企業がサブスクリプション(サブスク)を通じて収益を飛躍的に拡大する方法について話をしました。ロバートは、彼の近著『The 9 Proven Models for Exponential Subscription Growth』から、いくつか例を示してくれました。

今時の顧客は、サブスク型のサービスを求めるようになってきており、レストランや専門サービス、あるいは自分が頻繁に利用する会社の定期サービスを購入することに抵抗がなくなってきています。

ロバート曰く、一人の顧客が一回の買い物で終わるのか、事前にクレジットカードが承認された買い物を継続してくれるのか、これは中小企業にとっては儲けを広げるチャンスになり得るとのことです。

多くの企業が、サブスクモデルが自社のビジネスには向いていないと考えているようですが、ほとんどの企業はその能力があります。もちろん、コストコやネットフリックスのような大手の大多数は、サブスクモデルを取り入れていますが、もう少し詳細に見てみると、かなりの数の中小企業も提供していることがわかりました。

成功するサブスクリプションの例

多くの企業はVIPモデルを取り入れています。例えばレストランでは、VIP会員やサブスク利用者に、会員専用の営業時間を設定したり、一般客が順番待ちしているような状況でもVIP専用テーブルが利用できるような特典の提供が可能です。

価格や内容が事前に取決められている商品あるいはサービスを提供するビジネスでは、クライアントにサブスクモデルを勧めやすいはずです。ダラー・シェイブ・クラブの名前はご存じかもしれませんが、驚くほど低価格で消費者にカミソリを販売することで、既存のカミソリ市場を完全に破壊することができたのです。これは業界の流通網を介さず、消費者へ直接販売したことで実現しました。加えて、サブスクモデルを採用し、顧客から先々の注文まで受け取っているため顧客生涯価値も高まり、ダラー・シェイブ・クラブは業界全体を破壊することができたのです。

もちろん「サブスクってどうなんだろう……」と考えている企業があることも認識しています。そこでロバートに、どのような業態であればサブスクモデルが成り立つのか聞いてみました。

彼によると、造園業から害虫駆除などすでにかなりの業態でサブスクを取り入れており、すでに利用者もいる定着したサービスになっているとのことです。CPA(公認会計士)の中には、監査対応のサブスクを提供しているところもあります。クライアントが年額の契約料を支払えば、監査の際にCPAが立会って対応するというものです。

住宅の屋根工事業者は、雨樋掃除の年間サービスがあれば、屋根葺き替えの注文と一緒に受注できますし、単独で販売することもできます。暖房・空調業者や配管業者は、ある種のサブスクプログラムを提供しています。例えば訪問先で工事の見積もりを出すときに、「今回の修理費用はこちらになりますが、もし弊社の会員になっていただければこの修理費から割引をさせていただきます。他にもいろんな特典をお付けすることができます」と伝えることができるわけですね。

私は、個人的にこの種の会員サービスを楽しんでいます。ある空調・配管業者のサブスクを利用していますが、彼らは3か月に1度我が家に来て、空調機器や配管をチェックし、問題がないかすべて確認をしてくれます。さらに自動的に訪問予定を決めてくれるので、ありがたいことに次はいつ点検が必要になるのか把握しておく必要がないのです。顧客ロイヤルティを高めることにもつながりますね。仮に3か月ごとの定期訪問の間に何か不具合や故障があっても、私が他の業者に連絡することはありません。

商品・サービスの枠を超える

多くのビジネスにおいて、顧客はサービスや商品を購入しています。その上で、会員制をとっている場合、クライアントは関係性を持ち続けるというある種の約束を購入していることになります。多くの会社にとって、サブスクはそのサービスを履行をするにあたっても費用もかからず、新たな収益源となります。さらに、顧客に対しては大きな価値提供をもたらす、非常に利益率の高い収入源となり得ます。

ロバートは、成功するサブスクビジネスと失敗するものの最大の違いは、4つのSubscription Growth Drivers(サブスクリプション成長の原動力)が共に機能し、個々のサブスクモデルに合っているかどうかだと述べています。『The 9 Proven Models for Exponential Subscription Growth』で紹介されている9つのモデルにはそれぞれ特徴があり、価値を示すことで利用者を惹きつける方法をもっています。価格と定着率を含む4つの成長原動力は、それぞれのモデルごとにカスタマイズされています。それについては、彼の著書の中で明確に説明されていますので、ぜひご一読ください。

多くの企業が、サブスクモデルが自社のビジネスには向いていないと考えているようですが、ほとんどの企業はその能力があります。もちろん、コストコやネットフリックスのような大手の大多数は、サブスクモデルを取り入れていますが、もう少し細かく見てみると、かなりの数の中小企業も提供していることがわかりました。

あなたのビジネスについて考えてみてください。最も信頼できるクライアントには、VIPステータスへのアップグレードのお誘いをする、あるいは事前注文をしてもらい、事前に承認された商品を定期的に受け取れるサービスにお誘いする方法はありませんか?サブスクモデルには消費者にとっての利便性が十分にあり、あなたの会社が人々の生活をもっと楽にできる企業であれば、彼らのロイヤルティを高め、長いお付き合いができるようになるはずです。

 

訳=川崎あゆみ