ビジネスネットワーキングを「誰が誰に何を与えるのか」というゲームとしてとらえ、いつも「どうすればより多くの得点を取ることができるか」を考えている人がいます。そのような方には、「あなたがリファーラルを1件与えるごとに、あなたも同じく1件の見返りが期待できる」というルールはないということをお伝えしておきましょう。同様に、リファーラルを多く出したとしても、それを受け取ったビジネスのプロたちから同じだけのものが返ってくるとは限りません。リファーラルマーケティングは、そういう仕組みではありません。リファーラルは、常に相互的ではないのです。
効果的なビジネスとは、リファーラルパートナーと深い人間関係を築くことです。ネットワーキング構築において、成功している起業家は、「それは私にどんな得がありますか?」と質問するのではなく、相手に与えることをまず考えて、「私がお役に立てることはありますか?」と尋ねる人たちです。
相手と話してみよう
もし、あなたがたくさんのリファーラルを出していても、見返りがないと感じているなら、まずは彼らと話し合ってみることです。印象よく、敬意を払いつつ、「私がこれほどのリファーラルを出しているのに、なぜあなたは私に一切リファーラルを返してくれないのか」という気持ちを抑え、彼らと膝を突き合わせ、むしろあなたが相手の成功を願っていることを示すために、これまであなたが相手に与えた全てのリファーラルを振り返ってみましょう。ただし、「ねえ、このリファーラルも、あのリファーラルも私はあなたに出しましたよね」と詰問するのではなく、話し合いであることをお忘れなく。
このように会話を始めてはどうでしょう。「今年、3件のリファーラルをお出ししたと思いますが、それがどのようにお役に立てたのかお話できればと思います。これは、ABC社へのリファーラルでしたが、いかがでしたか? ビジネスにつながりましたか? その方とのお仕事はどう思われましたか?」
あなたが出した一つ一つのリファーラルが、どのように相手の役に立ったのか聞いてみてください。1件ずつ話し合って、しっかりと振り返りながら、そのリファーラルを出した後、どうなったのかを彼らに質問します。これは重要なことです。提供したリファーラルについて、あなたの理解と相手の理解が同じだったかを確認しましょう。勝手な思い込みでリファーラルを提供しないように。あなたは、「プラチナ」だと思っていても、相手にとっては「土」だったということもありえますから。
ときどき、何一つリファーラルが役に立たなかったことに気付くことがあります。それは、あなたが思っていたほど相手にとって良いリファーラルではなかったからかもしれません。もし、あなたの思っていたようには役に立たっていなかったのであれば、それについて相手と話してみましょう。質の高いリファーラルを提供するためには、どのように工夫すればよいか、質問してみてください。そして、ちゃんとその声に耳を傾けましょう!
ちなみに、もしリファーラルが役に立った場合でも、こう尋ねてみてもいいと思います。「リファーラルがお役に立ってよかったです。さらに良質なリファーラルをお出ししたいのですが、私が何か改善すべきことはありますか?」と。これも全て人間関係を構築し、強固にするためのひとつです。
あなたのことをどう話すのか
時間をかけて、あなたが提供した個々のリファーラルについて話し合います。そして全てのリファーラルがネットワークパートナーにとって望ましいもので、役に立ったことが分かったら、次に彼らの役に立てたことをあなたがどれほど喜んでいるかを伝えます。
その時初めて、こう話すのです。
「リファーラルがあなたのお役に立てて嬉しいです。これが、私たちのネットワーキンググループが考える、お互いに応援しリファーラルを出し合う、ということですよね」と。そして、あなたが相手にリファーラルを出すこともあなたにとって有益なことであることを伝えましょう。そして今度は、あなたが望んでいるリファーラルを、彼らがどのようにすれば出せるかを話し合う時間が取れるか確認しましょう。
これは、他の誰かの役に立つという思いから生まれる、誠実かつ思いやりのある平和的な会話です。横柄な気持ちが根底にあったり、相手を窮地に追い込むような非難めいたものではありません。
もし、自分が出したリファーラルが相手にとって役に立たなかったことが分かったというならば、私は相手からリファーラルを返してもらいなさいとは言いません。私なら、提供したものが良いリファーラルでなかったのであれば、相手に「どうすればもっとよいリファーラルを出せますか?」と尋ねます。もしビジネスの相手がGivers Gain®(ギバーズ・ゲイン)を真に理解し、実践している人であれば、相手もあなたに同じ質問をするでしょう。
現実的になる
私は現実主義者です。もし、ビジネスネットワーキンググループに、あなたに対してリファーラルを出そうとしない人がいたら、そんな人にリファーラルを出し続けたくないという気持ちになるのも理解できます。ただし、それはレアケースです。
効果的なネットワーキングは、人と人との関係性を重視するものであり、単なる取引ではないということをお忘れなく。自分のしたことは、自分に返ってきます。さらに、あなたがリファーラルを出した人からリファーラルが返ってくるとは限りません。逆にあなたが、一度もリファーラルを出したことのない人から、リファーラルが返ってくることだってあるのです。
さらに、リファーラルの価値も大切にしたいもの。例えば、お花屋さんと不動産屋さんがお互いにリファーラルを出し合う場合、お花屋さんから不動産さんへのリファーラルよりも、おそらく不動産屋さんの方が数的にははるかに多くのリファーラルを出すことになるでしょう。でも、お花屋さんから不動産さんへの良質なリファーラルは1件だとしても、お花屋さんにとっては、たくさんのお花の価値に相当することもあります。リファーラルは、数も必要ですが質も大切です。そしてそのリファーラルにどういう価値があるのかということも心に留めておきましょう。これらのすべてを考慮に入れましょう。
プロフェッショナルとして、私たちはネットワーキングパートナーとこのような会話をかわす必要があります。その上で、実際に自分が提供したリファーラルが質の良いものであれば、その時こそ、「よろしければ、私にもリファーラルをいただけると嬉しいです。お時間があれば、どうしたら私にリファーラルを出していただけるかお話できればと思います」と伝えてみましょう。
訳=川崎あゆみ