人脈作りは、機会や場所を問わず、できることをご存じですか?ネットワーキングを目的としない場での人脈作りは、得るものが非常に大きいかもしれません。その理由の1つは、多くの人がそのような場で人脈を作ろうなどと考えていないからです。つまり、あなたは、潜在的なリファーラルパートナーと強固で長続きする関係を構築する機会を独り占めできるのです。
1対1の交流から始める
普段とは異なる人脈作りの場の1つが、パーティーです。みなさんも1年を通じてさまざまなパーティーに出かけますよね。休日のパーティーや他の交流会など人脈を築くための機会はたくさんあります。
祖父母の50回目の結婚記念パーティーで、おじさんやおばさんにリゾートマンションの会員権を売るような無粋な人や、お葬式の場で商売をしようとする人を想像すると奇妙に感じる方もいるかもしれません。でも、ネットワーキングは、単に商品を販売したり、ビジネスリファーラルを提供することだけを目的にしているわけではありません。
ネットワーキングとは、「有意義な人間関係を構築すること」と、「人々の信頼関係や結びつき」を意味します。人脈作りの達人が、常にネットワーキングをしているのは、この点を理解しているからです。
全ては人間関係
考えてみてください。あなたは、自分の知り合いとは、すでに何らかのお付き合いがありますよね。問題は、その関係は、どの段階まで発展しているのかということです。VCPプロセス®に照らし合わせて、自分自身に次の質問をしてみましょう。
お互いに存在は知っているけれど、まだビジネスを行うには至っていない認知(Visibility)の段階の関係でしょうか。
お互いへの十分な信頼が確立されており、交流がある信頼(Credibility)の段階にありますか?
あるいは、お互いに協力したり、ビジネスリファーラルを交わしたり、その他交流を図るなど、相互に恩恵をもたらし合う利益(Profitability)の段階まで深まっている関係でしょうか?
昨今は、eメールやテキストメッセージなどのデジタルコミュニケーションによって、直接会う機会が失われがちです。実をいうと、多くの人間関係は、対面で会うことで発展し、会うたびにその関係は強化されるものです。人と出会い、人間関係を築くのに適しているのがまさにパーティーやネットワーキングを目的にしていないイベントなのです。
でも、どのようなイベントでもネットワーキングの活動を行う際に、忘れてはいけない大切なことがあります。
「何かお困りごとはないですか?」とたずねる
Givers Gain®(ギバーズ・ゲイン)の精神に基づいた態度で人と接することは、私たちが第一に覚えておくべきことです。常に考えるのは、「この方のためにどうしたらお役に立てるだろうか」ということ。私たちの多くは、この考え方を理解していて、日頃の人間関係に取り入れようと努めています。さらに利益(Profitability)の段階にある人たちとは、頭で考えることもなく本能的に実行しようとするものです。では、認知(Visibility)と信頼(Credibility)の段階にある人たちとの関係には、どのようにしてこの精神を取り入れることができるでしょうか。
交流イベントにおいては、大抵の場合、私たちは出会った人に「最近、調子はどうですか?」と尋ねます。すると訊かれた人は、「最高ですよ。これ以上ないほどうまくいっています」などと答えるのが常ですね。自動的にそんな風に答えるのは、誰しも礼儀正しくありたいという思いと、自分のビジネスでの悩みを相手に知られたくないからです。とは言っても、このありきたりな答えが全てを語っているとは限りません。
それでも、常にやりようはあるものです。間違いなく、あなたが役に立てる方法はあります。特に交流イベントのような場においては、多くの人は何かをこと細かに話したり、直面している状況についてあまり語りたがらないものです。そこで、相手の実情を知るための一番の方法は、「調子はどうですか?」などというありきたりの質問ではなく、より具体的な質問をすることです。
ある時、ある人と会話しているとき、「ビジネスの調子はどうですか?」と質問したところ、「最高ですよ。会社は拡大していますし、ビジネスは、期待していた以上に順調です」と予想通りの答えが返ってきました。次に、「立てた目標は、全て達成していますか?」と尋ねると、返ってきた答えはこうでした。「はい。全ての目標を大きく上回っています」。
この答えからすると、この人は、なんの手助けも必要ないように聞こえますよね?でも私は、これは大きなチャンスだと思いました。考えてみてください。会社のオーナーが期待していた以上に速いスピードで大きくなっている会社には、どんな手助けが必要だと思いますか?
多くの人は、ネットワーキングを、クライアントを獲得する手段だと思っていますが、人間関係を構築するという点で考えると、何か人の役に立つことができれば、それは大きなチャンスになります。手助けするにはさまざまなやり方があり、そのどれもが次のチャンスを広げることになるのです。
今回のケースは、私が、その方にとって手助けとなる人物を紹介し、感謝していただきました。
これは一般的な話題にとどめず、具体的なニーズを把握することで実現できたことです。
誠実に接する
ネットワーキングを目的としていないイベントで、あなたが人脈作りを成功させたとしても、他の人はそれには気づかないでしょう。それは、あなたが本当に他の人の役に立てる方法を探しているからであり、周囲の人の目には、あなたが相手を気遣っているように映っているからです。自分の利益のためだけにネットワーキングをしている人は、人間として浅く、不誠実な人だと思われるものです。
ネットワーキングに長けている人は、あえて誠実であろうとする必要はありません。自分自身のためではなく、他の人のためにも人脈作りをとても大切にします。ネットワーキングにおいて実績があり、成功している人たちは、場所を問わずどこでも人脈を作ることができます。祝賀行事で名刺交換をするようなときでも、他の人の役に立つような情報を共有することによって、人々に受け入れてもらえるということがわかっているのです。
イベントの趣旨に敬意を表する
そんなことは、考えるまでもない当然のことだと思う人もいるでしょう。でも売り込むこと(どんな売り込みにしても)に必死になりすぎて、パーティー会場を練り歩くような、熱心過ぎるビジネスパーソンもいます。そういう人たちは、家族の集まりや、交流会などの場でも人の迷惑も考えずに同じことをしますが、これはビジネスネットワーキングの本質とは、真逆の行動です。最も重要なのは、人間関係です。交流会は、認知(Visibility)、信頼(Credibility)の度合いを上げるのに最適な場所だからこそ、人間関係を重視することを大切にしてください。
あなたのネットワーキングの仕方は、社交的な集まりと商工会議所の会合とでは、異なるはずです。どちらも人脈を作り、お互いに人と人をつなげ、助け合い、人間関係を築くものですが、ビジネスを目的としていないイベントでは、積極的に自分のビジネスを宣伝するべきではありません。そのイベントの趣旨に敬意を払い、その場で浮くことなく、自分がなじめる戦略を立てましょう。
ネットワーキングは、ひとつのライフスタイル
ネットワーキングは、私たちが日頃行っているどんなことにも取り入れることができる1つのライフスタイルです。他の人と有意義な関係を築くために、努力をするべきだということは、常にネットワーキングをする必要があるということです。だからといって、何かを誰かに“売りこみ”なさいという意味ではありません。なぜなら、売り込むことでは有意義な関係の発展には、ほぼ至らないからです。
ビジネスネットワーキングは、人間関係を構築することです。社交の場、家族の集まり、休日のパーティーなど全てのイベントは、他の人を手助けする機会に満ちています。人の役に立つことが、人間関係を構築し、強くする機会を生み出します。
あなたは、ネットワーキングを目的としないイベントに参加して、人脈作りがうまくいった経験はありますか?
訳=川崎あゆみ