AIについて、そして職場での創造的な活動にAIを活用することについて、近頃友人のキアン・ゴハーと話しをしました。キアンは、私たちが職場で遭遇する様々な問題に対してよりよい解決方法を見つけるのにAIを役立てる方法についても語ってくれました。
彼はまず、AIは単なるサーチエンジンではないということ、そして挑戦的な課題を解決するためにAIに創造性を発揮させる方法から話し始めました。彼は世界中の企業で実際の課題に直面する実際のチームとともに行った実験について語ってくれました。この実験では、チームの半分にAIへのアクセス権が与えられ、残りの半分にはAIへのアクセス権が与えられませんでした。驚くべきことに、AIを使用したチームでも創造性の向上はごくわずかでした。キアンと彼の同僚達が調査したところ、私たち人間は最初に得た納得できる答えにこだわってしまう、ということを発見しました。しかし、最初に得た答えが必ずしも最適とは限りません。
実験の際、AIの利用に関して他のチームとは全く違い、本当に独創的なチームがあったことも発見されました。ここで発見されたのは、創造的なチームは、ワークフローとAIとの接し方を変えていました。
会話をする
AIと独創的なな関係をもったチームは、私たちが普段サーチエンジンに対して行っているような質問をAIに対して投げかけるのではなく、AIと双方向型のの会話を行い、彼らが抱えている問題に対してより深く創造的なな解決策を得られるようにAIを導いていたのです。
キアンが気づいたのは、問題解決のためにAIを創造的に利用したいのであれば、AIを思考のパートナーとして活用することを学ばなければならない、ということでした。つまり、私たちが過去20数年のインターネット時代にしていたのとは違い、AIを会話のパートナーとして使うことを学ばなければならないということです。
私たちはラップトップやデスクトップコンピューターの前に座って、サーチエンジンが最適な返答をしてくれるように、完璧な質問を入力することに慣れてしまっています。
多くのAIユーザーインターフェースは、私たちが使い慣れた検索エンジンとよく似ています。そのため、AIを使い始め「サーチボックス」的なものを見た時、正しい答えを得られるような適切なプロンプトを打ち込もうと考えてしまうのです。キアンは、このようにアプリへタイピングするような感じではなく、AIと会話を交わすように向き合うことを勧めています。つまり、いつものように人と話すようにAIと会話することです。AIは自然な会話を非常に高い精度で理解します。AIとの対話を始めることで、私たちはAIからとてもたくさんの洞察やアイデアを得ることができます。
(会話の)背景となる情報を与える
AIと会話をする際に最も重要なレッスンのひとつは、私たちがAIを使って解決しようとしているジレンマが何であれ、AIに対しては状況や背景を提供することが必要だということです。もしどんな背景情報を提供したらよいのか分からない場合、AIとの対話方法を根底から変えてみるとよい、とキアンは勧めています。
AIから正確な答えを得るためにはどのような背景情報が必要なのかをAIに聞いてみてください。例えば、あなたは次のように問いかけるかもしれません。「AI、私に答える前にこの状況や話題について5つ質問して。」 こんな問いかけが、あなたへの質問やインタビューの機会をAIに与えることになるのです。そして会話を始めるのに必要な背景情報が十分に得られていきます。そして、そこから会話のやりとりが始まり、AIに意見を求めたり、問い直したりすることができるようになります。また、会話の方向性を変えるようAIに頼んだり、自分の仮説をAIに評価してもらうことも可能です。このような会話、まるで人間との会話のように、AIと連携することで最適な回答を得ることにつながります。
AIの基本によく慣れることが大切です。キアンはこれをAIのABCと呼んでいます。新しい言葉を学ぶとき、まずはその言語のアルファベットを習いますよね。今私たちはAIという道具を手に入れました。私たちはAIの基本、つまりABCを習う必要があるのです。これを習うことによって私たちは、AIを使うために技術の専門家である必要はありません。そしてAIとの関わり方をシンプルにすることができます。なぜならAIのABCとは、AIの基本を理解することを指し、人間とAIが未来においてどのように付き合っていくかということだからです。
訳=丹野裕道(株式会社ディアス)