ソフトスキルが強いネットワークを生み出す 

2026/09/28

ソフトスキルが強いネットワークを生み出す

ご存じの方もいらっしゃると思いますが、私は、「ニューエイジ」と呼ばれるスピリチュアルな考え方に傾倒するタイプではありません。それでも、著者であり、現在77カ国に30万8000人以上のメンバーを擁するBNI®の創設者として、私は「互恵の輪」の計り知れない力を信じています。互恵の輪のコンセプトは、自分に良いことをしてくれた相手には、お返しに良いことをしたいと思う、人間の深い心理に根ざしています。

ソフトスキルには確かに価値があります。私同様にソフトスキルの価値を理解しつつも、それがなぜ効果を発揮するのか、その根拠が知りたい方のためにお伝えすると、互恵の輪を裏付けるものは世の中にたくさんあります。その代表的なものが、ナッシュ均衡理論です(面白いことに、頭文字を取るとNETになります)。

ナッシュ均衡理論

ナッシュ均衡理論とは、基本的に、グループの全員が自分自身にとっても、グループ全体にとっても最善の行動を取ったとき、最良の結果が生まれるという考え方ですが、これも互恵性の一つの形です。他のメンバーがどのような選択をするかを踏まえた上で、誰も自分の選んだ戦略を変えるメリットがない状態こそが、その状況における最適な結果だとされています。

お互いが利他的に振る舞うこと

「利他的に振る舞うよう心がけること」は互恵性の別の形です。これは、集団全体への利他性と個人のニーズのバランスを大切にする考え方です。集団的利他主義はグループ全体のニーズを重視しますが、個人のニーズはあまり重視しません。一方、「お互いが利他的な振る舞いを心がける」とは、グループのニーズと個人のニーズの両方を考慮しようとするのです。

人を助けることで、自分自身も助けられるのです。

ソクラテスやアレクシ・ド・トクヴィルが倫理や統治について著した初期の書物の中でも、「啓発された自己利益」という考え方は、互恵性を中心とした考え方でした。啓発された自己利益とは、他者の利益、あるいは自分が属する集団の利益のために行動する人は、最終的には自分自身の利益にもつながるという考え方です。

言い換えれば、人のために良いことをすることが結果的に、自分自身もうまくいく、ということです。

Givers Gain®

BNIを立ち上げた当初から、私はGivers Gain®(与える者は与えられる)という理念を掲げてきました。この言葉の根底にあるのは、「情けは人の為ならず」という昔ながらの考え方です。いえ、それだけではなく、実際にはもっと奥深いものなのです。

ビジネスネットワーキングとは、人との信頼関係を築くことです。私の経験では、誰かとすばやく関係を築く一番の方法は、まずその人を助けることだということです。ただし、誰かを助けるといっても、自分の商品やサービスを売り込むことではありません。紹介や情報など、相手のニーズに応えるものを心から提供することです。そうすることで、相手とのビジネス上の関係が築かれ始めます。

人との関係を築くことで信頼が生まれ、その信頼が効果的なネットワーキングの土台となります。Givers Gain®を十分に実践していれば、人の役に立つことで築かれた信頼を土台とする、強固な人脈を築いていくことができるでしょう。

この考え方は、Givers Gain®︎と呼ぼうと互恵性の法則と呼ぼうと、個人とコミュニティとをつなぐ架け橋となり、さまざまな形の協力関係を支えます。そして、個人としての成長やキャリアの成長の原動力となり、リファーラルやビジネス拡大にもつながっていきます。

協力がもたらす恩恵

研究によれば、人と協力することは、私たちの脳に報酬をもたらすことがわかっています。協力すると、脳内でドーパミンが分泌される頻度が高まります。興味深いことに、人と協力しなければドーパミンの分泌は低下します。ここまで紹介してきた考え方はいずれも、協力や連携が大切であるということです。そして実践することはドーパミンの分泌を高めることにつながります。

以前、インドのBNIメンバーであるアムルトから、この考え方をうまく表した例えをメールでもらったことがあります。彼は、以下のようなことを書いていました。小さなスプーンと大きな取り分け用のスプーンを持っていると想像してみてください。私たちは普段、どちらをより多く使っているでしょうか。小さなスプーンは自分のためにしか使えません。しかし、大きな取り分け用のスプーンがあれば、他の人にも取り分けてあげることができます。
私たち全員が大きなスプーンを使って、人に取り分ければ、小さなスプーンで食べる自分の分も十分に得ることができます。ビジネスネットワーキンググループのメンバー全員が、お互いのために大きなスプーンを使うことで、全員にとって素晴らしい成功が生まれるのです。
友人のボブ・バーグが共著で出版した『あたえる人があたえられる The GO-GIVER』という本の中で、著者たちはこう述べています。「あなたの収入は、どれだけ多くの人に、どれだけ役に立ったかによって決まる」。 

ナッシュ均衡と呼ぼうと、互恵的利他主義、啓発された自己利益、あるいはGivers Gain®︎と呼ぼうと、他者に与え、助けることは、自分自身も気分がよくなります。そして、ちなみに、それは何倍にもなって自分に返ってくるのです。

私は、互恵性とは「よだれかけを外して、エプロンを身につける」ことだと考えています。このようなネットワーキングでは、個人として集まった人たちが、やがてコミュニティへと成長していきます。それこそが、ソフトスキルが強いネットワークを生み出す理由なのです。


この記事は、Dr.アイヴァン・マイズナーによる「Soft Skills Make Strong Networks」を翻訳したものです。
原文:https://ivanmisner.com/soft-skills-make-strong-networks/
翻訳:川崎あゆみ