動機:動機付け要因と衛生要因

2025/12/01

1960年代、アメリカ人心理学者のフレドリック・ハーズバーグは、何が人々を動機づけるのかを研究しましたが、彼は正しい答えを導き出したと思います。彼が提唱したのは「動機づけ要因(満足に関わる要因)」と「衛生要因(不満足に関わる要因)」の存在です。お金のようなものは実際には衛生要因なのですが、1970年代にこれを読んだ時は「お金って衛生要因なんだ」と、私にとってそれは当時、衝撃的な気づきでした。お金が足りなければ不満を感じますが、お金をすごくたくさん稼いだからといって長く幸せではいられないのです。お金をたくさん貰うと、最初の30日間は舞い上がるほど嬉しくなるかもしれませんが、次第に「これくらいは当然の報酬だ」と思うようになります。ですからお金は衛生要因なわけです。短期的には幸せになるかもしれませんが、長期的な幸せを得ることはできません。

動機付け要因としては機会、承認、発展などがあります。これらはあなたが現在行っていること、あなたが熱意を注いで取り組んでいることです。

学校の先生方はたくさんのお金を稼いでいませんが、「世の中に貢献できている」という実感があるからです。先生方は仕事を愛しているからその仕事に留まるのです。一方、たくさんのお金を稼ぐ企業幹部でも、自分の人生が虚しいと感じていれば「もうこんな仕事はできない」と仕事を去ってしまうのです。

ここに挙げた「機会」「承認」「成長」「社会への貢献」という4つの満足要因は幸福や成功と大いに関係しています。これらの動機付け要因が今のあなたにあるかどうかを確認することで、ビジネスや人生においてあなたが向かっている方向について再検討できるかもしれません。

あなたが成功したいのであれば、自分の情熱に従い、あなたの熱意の中にある新しく革新的なものを探し求めていくべきです。私はそう信じています。覚えていてください。あなたが成功を定義しようとする場合、それはお金とは全然関係ないのかもしれません。成功を測る上で、「幸せ」は欠かせない要素です。

あなたの人生における最も大切な「動機付け要因」と「衛生要因」は何でしょう? どの道を行くのか、どの目的に力を尽くすのか、あなたの選択においてこれらの要因はどのように影響してきたでしょうか?


この記事は、Dr.アイヴァン・マイズナーによる「Motivation: Satisfiers and Dissatisfiers」を翻訳したものです。
原文:https://ivanmisner.com/motivation-satisfiers-and-dissatisfiers/
翻訳:丹野裕道(株式会社ディアス)