皆さんの中には私がニューエイジの人間でないことを知っている方もいらっしゃると思います。私はニューエイジタイプの人間ではありません。世界77か国に308,000人のメンバーを持つBNIを始めた創立者であり著者として、「互恵の輪の法則」の大きな力を信じているタイプの人間です。このコンセプトは「あなたに良いことをしてくれた誰かに何か良いことをしてあげたい」という人の心に深く根差した心理的な欲求に働きかける考え方です。
ソフトスキルには確かな価値があります。ソフトスキルの価値を理解していても何故それが機能するかについて証拠を求める人もいるでしょう。「互恵の輪の法則」を裏付ける根拠はたくさんあります。例えばナッシュ均衡理論(Nash Equilibrium Theory)がそれです。(略称が偶然にも「NET」になるのは興味深いことです…)
ナッシュ均衡理論
ナッシュ均衡理論が唱えているのは、基本的に、グループの全員が自分達とグループにとって最適なことをしている場合に最適な結果がもたらされるということです。これは互恵性の一つの形です。理想的な結果は、参加している個人が他の参加者の意見を聞いた後で自ら選んだ戦略を変更する動機がない状態において生み出されるという理論です。
相互的利他主義
相互的利他主義は互恵性のもう一つの形態で、集合的利他主義と個人的ニーズとの間にバランスの取れた関係を含むものです。集合的利他主義はグループのニーズにフォーカスしたもので、個人のニーズは深く考慮していません。相互的利他主義はグループのニーズと個人のニーズの両方を考慮しようとしたものです。
かつてソクラテスやアレクシ・ド・トクヴィルは倫理や政府に関する本を書きましたが、啓発された自己利益の概念は全て相互性に関連付けられています。啓発された自己利益とは、人々は他者や自分が属するグループの利益のためによく動くことにより究極的に自身の個人的興味を満足させることができるとする哲学です。
つまり、人に良いことをするれば、自分も成功できるということです。
ギバーズゲイン
私はBNIが発足した当時からギバーズゲインという用語を使ってきました。この用語の基礎となるのは「因果応報」という昔からある考え方だと思われています。しかし、本当はそれよりももっと複雑なものなのです。
ビジネスネットワーキングは関係構築に関するものです。私は、「誰かと早く信頼関係を築く最善の方法は、まず彼らを助けることだ」ということを発見しました。もしあなたが誰かを助けられる場合(これはあなたの商品やサービスを売ることではありません)、その誰かのニーズを本当に満たす紹介や情報などを与えることで、彼らと信頼に基づくビジネス上の関係を築き始めることができます。
関係構築は信頼の構築を助け、信頼は効果的なネットワーキングの礎となります。あなたがギバーズゲインを頻繁かつ十分に実践すれば、あなたは他者を助けることによって築いた信頼を前提とするパワフルな個人的ネットワークを築き始めるでしょう、
この概念は(用語はギバーズゲインでも互恵の輪の法則でも構いません)、個人とコミュニティを結びつける架け橋となるものです。それは個人的かつ職業的な成長の燃料となり、リファーラルもビジネスも増加していくことでしょう。
協力の恩恵
研究によると、社会的な協力は脳に良い影響を与えることが分かっています。協力は脳の中でドーパミンの分泌を促進するそうです。面白いことに、社会的協力を欠くとドーパミンの分泌は減るそうです。上に挙げた戦略は全て協力と協業関するもので、いずれもドーパミンの生成を増やすのです。
かつてインドのBNIメンバーであるAmruthさんからEメールをもらったことがあります。内容はこの哲学の素晴らしい例え話でした。あなたが2つのスプーンを持っているところを想像してみてください。一つは小さなスプーン、もう一つは大きな給仕用スプーンです。私達はどちらを頻繁に使いますか?小さなスプーンでは自分しか満たせません、しかし大きなスプーンは他の人へも与えることができます。私達がみんなが大きなスプーンを使うほど、自分の小さなスプーンも満たされるのです。皆のために大きなスプーンを使うビジネスネットワークグループは、皆に大きな成功をもたらします。友人であるボブ・バーグ(Bob Burg)と共著した「ザ・ゴー・ギバー(The Go Giver)」の中に「あなたの収入は、何人の人にどれだけ価値を提供したかによって決まる」という一説があります。
ナッシュ均衡、相互的利他主義、啓発された自己利益、ギバーズゲイン、呼び方はいろいろありますが、他者に与え他者を助けることで、あなたは素晴らしい気持ちになります。それだけでなく、あなたが与えた何倍も返ってきます。
相互性とは「涎掛けを外してエプロンを着ける」ことだと私は信じています。このようなネットワーキングでは、個人として参加した人々が、やがてコミュニティを築いていくのです。
ソフトスキルが強いネットワークを作るとはそういうことです。
この記事は、Dr.アイヴァン・マイズナーによる「Soft Skills Make Strong Networks」を翻訳したものです。
原文:https://ivanmisner.com/soft-skills-make-strong-networks/
翻訳:丹野裕道(株式会社ディアス)