壁の花を探そう

2026/06/22

少し前に、私の友人であるマーク・ゴールストン博士(著名な精神科医・コンサルタント)とネットワーキングについて話していたとき、彼はこんなことを言いました。「会場で“壁の花”になっている人には、必ず自分から話しかけるべきです」「イベントに参加した会場の隅で、ひとりでいたい人など誰もいません。高いスキルを持つ人ほど、人見知りであることが多いものです。次のビル・ゲイツにいつ会うか、誰にもわかりませんよ」。

この言葉には深く共感し、数年前のことを思い出しました。ホワイトナイト2とスペースシップ2の試験飛行に関連して、ヴァージン・ギャラクティックが主催したパーティに参加したときのことです。私は、パーティ会場の外に出て、プールのそばに目をやると、ひとりの男性が居心地悪そうで、その場に馴染めていない様子でした。それは、スケールド・コンポジッツの創立者であり、スペースシップ2の設計者、伝説のバート・ルータンだったのです。彼が創業した会社と、ヴァージン・ギャラクティックの成果を祝うために、数百人の人が訪れるパーティで、彼は、ひとりで立っていたのでした。

これは、またとないチャンスだと思い、私は、彼のもとに歩み寄り、自己紹介をしました。彼にこうしたイベントにはよく参加されるのですかと聞いたところ、彼は、「このイベントを1回と数えるなら、今回が初めの1回です」と答えました。私は、では、なぜ今回だけは参加を決めたのですかと尋ねると、「リチャードに来て欲しいと言われたから」と答えたのです。ちなみに、そのリチャードとは、ヴァージン・ギャラクティック創業者のリチャード・ブランソンのことです。

この時点で、彼は、あまり社交的には見えませんでしたが、会話自体は、苦にならないようだったので、私は話を続けました。「この素晴らしい、長期ビジョンが実現していくのを見るのは、感慨深いでしょうね」。すると彼は感じよく、「これは、この会社の長期ビジョンではありませんよ」と答えたので、私は明らかに驚いて、「では、あなたの長期ビジョンは、何ですか?」と尋ねました。すると「この会社なら、準軌道飛行にとどまらず、宇宙旅行者が地球が周回する軌道を飛行可能にできると思っています」と答えました。私は素直に、「それは素晴らしい長期ビジョンですね」と言うと、彼はまた「いえ、それも私の長期ビジョンではありません」と答えました。私は、本当に驚いて、また質問しました。「では、あなたの長期ビジョンは?」。彼は、こう答えました「軌道飛行で宇宙へ行き、乗客が宇宙ホテルで短期滞在できるようになることです」。この時点で、私は完全に圧倒されていました。それでもまた、「それは素晴らしい長期ビジョンですね」と言うと、それもまた「でも、私の長期ビジョンではないんです」と答えました。完全に引き込まれた私は、その先見性にすっかり魅せられながら、さらに聞きました。あなたの長期ビジョンは?軌道飛行で宇宙へ打ち上げ、宇宙ホテルに滞在し、そこから月を周回して戻ってくる。それが私の長期ビジョンです

この会話を交わしたとき、バートは、おそらく60代後半でした。最後に私は、こう訊きました。「そのビジョンが現実になるのは、いつだとお考えですか?」。すると彼は、「私が生きている間に実現すると思っています」と答えたのです。、イギリスには、”gobsmacked”(言葉を失うほど驚いた)という、そのとき私が感じたことを表す言葉があります。。私は、彼のビジョンに心の底から驚愕し、彼とこの会話を交わす機会があったことをこの上なく光栄に思いました。

私は、世界最大のリファーラルネットワーキング組織を創設し、BNI在任中に何万人の人々と会ってきましたが、パーティやネットワーキングイベントで交わした会話の中で、最も印象深い会話のひとつでした。バート・ルータンの(そしてもちろんリチャード・ブランソンの)起業家精神にあふれたビジョンは、私の心の中に消えることのない印象を残しました。

この学びは、「壁の花」になっている人を常に探しなさいというゴールストン博士の教えと結びついています。全ての人が「バート・ルータン」というわけではありませんが、壁の花は興味深い人々で、話してみる価値があると私は感じてきました。あなたもビル・ゲイツやバート・ルータンと出会うこともあるかもしれません。だからこそ、壁の花となっている人たちに話しかける努力には十分価値があります。

ネットワーキングイベントで、ひとりでいる人に話しかけたエピソードはありますか?あるいは、ミーティングやイベントで“壁の花”になっていたら、誰かが話しかけてきてくれた経験はありますか?


この記事は、Dr.アイヴァン・マイズナーによる「Look for the Wallflowers」を翻訳したものです。
原文:https://ivanmisner.com/look-for-the-wallflowers/
翻訳:川崎あゆみ